沖澤のどかが京響第14代常任指揮者に就任

 京都市交響楽団が本拠地の京都コンサートホール内で記者発表をおこない、今年3月に退任した第13代常任指揮者・広上淳一の後任として、2023年4月より沖澤のどかが次期常任指揮者に就任することを発表した。女性の同ポストは初、そして史上最年少での就任となる。
 選考にあたっては、楽員からの支持、互いの相性を最も重視したという。また、インターナショナルなコネクションがあり、海外へ積極的に発信を行っていける人物であるという点も、決め手になったようだ。

京響&沖澤のどか 第661定期 ©京都市交響楽団

 沖澤のどかは、青森県出身。東京藝術大学・同大学院を経て、ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学修士課程に学び、2018年に東京国際音楽コンクール〈指揮〉、翌19年に第56回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。今年6月まで、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のカラヤン・アカデミーで奨学生として研鑽を積みながら、キリル・ペトレンコの助手を務めていた。現在は、ベルリンを拠点にヨーロッパ各地や日本で活躍。この夏は、セイジ・オザワ松本フェスティバルにてサイトウ・キネン・オーケストラとの共演で《フィガロの結婚》3公演を振るほか、国内外のオーケストラへの登壇が予定されている。

沖澤のどか ©Felix Broede

 記者発表では、沖澤も登壇し抱負を述べた。オファーを受けたときは非常に驚き、「一度の共演で、こんな大役をいただけるとは思わなかった」という。京響との初共演は昨年10月。そのとき、リハーサル時から「独特のくだけた雰囲気」のなか、互いにすぐに打ち解け、楽員たちが伸び伸びと演奏していた姿が印象に残っているという。
「私のような若手指揮者を常任指揮者として迎えるということはオーケストラの懐の深さを示すことにもなりますし、またオーケストラとして、指揮者なしでもオーケストラがいかに充実し成熟しているかということを示していると思います。これから京響とやっていきたいことはたくさんありますが、まず常任指揮者としてやるべきことは、良い演奏を届けること。これに尽きると思います。京響の皆さんと一緒に唯一無二のサウンドを一緒に作り上げたい。
 私がとても大事にしている言葉で、特にこの京都にぴったりだと思うのが『故きをたずねて新しきを知る』ということです。自分ができることをやらなきゃと力み過ぎるのではなく、まずこれまでの京響の歩みを知り、それから何か、新しい風を吹かせられたら」

 京都という街についての印象を問われると、「一度や二度訪れただけでは、見せてやらないぞ、というような、謎めいた魅力がある街」と表現した沖澤。コロナ禍で聴衆のもつエネルギーに改めて気づいたという彼女だが、「オーケストラは地域に根ざしていて、お客さん、さらには街が作るもの」と話す。3年間の任期中、地元の音楽ファンとも交流を深めながら、古都に新しい京響サウンドを響かせてくれることを期待したい。

(c)京都市交響楽団

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