デュオ・パッシオーネ[礒絵里子(ヴァイオリン)& 河野智美(ギター)]

レアなデュオで紡ぐ音のタペストリー

左:礒 絵里子 右:河野智美 (c)Fukaya Yoshinobu

 ヴァイオリンの礒絵里子とギターの河野智美が「デュオ・パッシオーネ」を結成。デビューCD『グラシア』をリリースする。「やりたい曲を集めたら自然にこうなった」という、スペイン・南米の音楽を中心にした構成。聴けば必ず心が躍るようなアルバムだ。

河野「スペイン・南米の音楽って、他のクラシックの楽曲とは少し違う、ひとつのジャンルになっていると思うんです。聴きやすくて、クラシックが苦手な人も馴染みやすい。すごく面白いアルバムになったと思います」

「インファンテの『エル・ビート』という作品を河野さんに紹介してもらって収録したのですが、元はピアノ曲。はたしてギターとヴァイオリンでどんな響きになるんだろうと思っていたら、ギタリストで作曲家の藤井眞吾さんが書いてくれた編曲が素晴らしくて、最初からこの編成のための音楽だったんじゃないかしらと思うくらい。とても気に入っています」

河野「ヴァイオリンとギターのオリジナル作品って、パガニーニとかジュリアーニぐらいしかないので、どうしても編曲が必要になります。こんなに合う楽器同士なのにオリジナルが少ないんだなと、あらためてびっくりしたのが、このCDを作っての一番の感想でもあります」

 実は今回、公式にデュオとしてスタートする以前に、すでに10年以上の共演歴がある二人。互いをよく知る間柄だ。

河野「絵里子さんはおおらかな人。細かいことを気にしないと言ったら語弊があるかもしれないですけど、すごくポジティブ。一緒に弾いていても、細かいアンサンブルだけでなく、全体的な面白さだったりを見渡してくれます」

「河野さんはすごくきれい好き。ツアーをご一緒しても、楽屋やスーツケースの中身が散らかっているのを見たことがないです。河野さんの音楽の魅力も音色の美しさなんです。絶対に汚い音を出したがらない。音色に関して厳しい人だなというのは、最初に共演したときから思っていました」

 満を持してのデビュー盤だけに、二人とも手応えは十分だ。

河野「ドレスアップして出かけるクラシックのコンサートというよりも、普段着でくつろいでいただけるような一枚ができました」

「ギターとヴァイオリン、それぞれのファンの方が、お互いの楽器の魅力に気づいていただけるような選曲と演奏です。お楽しみください」

 2月には銀座・王子ホールで発売記念コンサートも。二人が交わす息づかいを間近に感じるにはもってこいの空間で、新生デュオの「Passione=情熱」に、たっぷり浸りたい。
取材・文:宮本明
(ぶらあぼ2022年2月号より)

デビューCD『グラシア』発売記念コンサート
2022.2/4(金)18:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
  アールアンフィニ artinfini.mail@gmail.com

SACDハイブリッド『グラシア』
アールアンフィニ
MECO-1069
¥3300(税込)
2022.1/19(水)発売