最高の布陣でおくるリヨン歌劇場の自信作
オペラ指揮者として国際的な実績を重ねている大野和士が、2008年から首席指揮者を務めているフランス国立リヨン歌劇場を率いて凱旋する。演目はオッフェンバック《ホフマン物語》。
このオッフェンバック唯一のオペラ、完成前に作曲者が死去、劇場の火災で初演譜が失われたり、20世紀末以降に手稿譜や焼けたと思われていた初演譜が発見されたりと数奇な運命を辿ってきたせいで、細部の異なるさまざまな版が存在する。今回の上演は2005年校訂のケイ&ケック版によるもの(さらに演出のペリーが改訂した台詞も加わるので、いわば「ペリー版」とも言える内容になっているという)。
ロラン・ペリーは、昨年のサイトウ・キネン《こどもと魔法》なども手がけている、世界中のオペラハウスから引っ張りだこの演出家。今回の舞台は、2005年に制作され、すでに十数ヵ国で上演されている、定評あるプロダクションで大野自身も絶賛している。
配役では、別々の歌手が歌うことも多い幕ごとの3人のヒロイン、オランピア、アントニア、ジュリエッタ、そしてステッラの女性4役を、パトリツィア・チョーフィが一人で演じるのに注目。主役ホフマンはダブルキャストで、メット育ちの躍進中のテノール、ジョン・オズボーンと、2004年オペラ・デビューの若手レオナルド・カパルボという二人の期待の若手実力派が歌う。
知的なアプローチが光る大野和士のオペラ公演を日本で体験できる貴重な機会は見逃せない。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2014年6月号から)
★7月5日(土)、7日(月)、9日(水)・Bunkamuraオーチャードホール
問:Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999
http://www.bunkamura.co.jp