エンリコ・オノフリ(指揮、バロック・ヴァイオリン)

バロックの鬼才が新アルバムをリリース、コンセプトは“自然との共生”

Photo:Paolo Perrone

 バロック・ヴァイオリンの名手として知られ、2002年からは指揮者としても活動、その快演で聴衆を魅了し続ける鬼才エンリコ・オノフリ。自身が主宰する「イマジナリウム・アンサンブル」を弾き振りしての、ヴィヴァルディ「四季」を含む話題の新アルバム『INTO NATURE ー自然の中へ ヴィヴァルディ「四季」(全曲)と母なる大地の様々な音色たち』(Anchor Records)が、間もなくリリースされる。

 イタリア北部ラヴェンナ出身。1987年から20年以上にわたり、アンサンブル「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」のコンサートマスターを務め、斬新な解釈による「四季」の録音で、同作品の“第二次ブーム”とされるほどの旋風を巻き起こした。一方の「イマジナリウム・アンサンブル」は、2006年設立。第一線で活躍中のイタリア古楽界の名手たちで構成される。

 「何年も前に、都会の生活を捨て、自然とともに生きる道を選んだ」というオノフリ。新譜では、28年ぶりの再録音となる「四季」をはじめ、ウッチェッリーニやパシーノらイタリア初期〜中期バロックの作曲家の作品から、特に人間と自然との関わり合いが、つぶさに感じ取れる佳品を厳選した。なかでも「四季」は、自在なインプロヴィゼーションを披露するが、恣意的なところはまったく無く、水が高い場所から低地へと流れゆくかのような自然な美しさを感じさせる。これもアルバムがDXD 352.8kHz 24bitで収録されたハイクオリティの音質ゆえだろう。オノフリ曰く、「求められるのは、表面的な自己表現を捨て、音楽の僕となること」。

 常に古楽界をリードしてきたオノフリの動向から今後も目が離せない。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2022年1月号より)

CD『INTO NATURE ー自然の中へ ヴィヴァルディ「四季」(全曲)と母なる大地の様々な音色たち』
Anchor Records
UZCL-2226 ¥3000(税込) 
2022.1/26(水)発売

*制作進行上の都合により、発売を延期することとなりました。(2021.12/28 Anchor Records発表