モーツァルトとバーンスタインを繊細かつ躍動感たっぷりに
フランスのコルシカ生まれのジャン=クリストフ・スピノジが、新日本フィルに初めて登場したのは2010年。生気あふれる指揮は聴衆と楽員の間で大評判となり、その後も12年、14年、15年と客演を重ねた。今回は7年ぶり5回目の共演となる。スピノジは21年6月、ついにベルリン・フィルにデビュー、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」他で躍動感に満ちた演奏を繰り広げ絶賛された。その「ジュピター」がプログラムに入っているのはタイミングが良くうれしい限り。
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番では、2019年のベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝したステラ・チェンがソリストとして出演する。名器ストラディヴァリウス1708年製「ハギンス」を使用しているチェンは、ジュリアード音楽院でパールマンに師事しており、艶やかな美音が聴けるだろう。バロックからウィーン古典派を得意とし、指揮者とヴァイオリニストのふたつの顔を持つスピノジにとっても願ったりかなったりの作品であり、名演が期待できる。
並はずれたリズム感と身体能力を持ち合わせ、全身から音楽が勢いよく飛び出してくるスピノジ。バーンスタイン「ウエストサイド・ストーリー『シンフォニック・ダンス』」がどれほどエキサイティングな演奏になるのか、想像するだけで胸が躍る。ダンス音楽の〈マンボ〉はもちろんのこと、抒情的で美しい〈サムホエア〉ではオペラで培ったスピノジの歌心が存分に発揮されるだろう。今から公演が待ち遠しい。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2022年1月号より)
*出演を予定していた指揮のジャン=クリストフ・スピノジ、ヴァイオリンのステラ・チェンは、新型コロナウイルス感染症に係る入国制限により、出演を見合わせることとなりました。
代わって指揮は佐渡裕、ヴァイオリンは西江辰郎(新日本フィルコンサートマスター)が出演いたします。
また、以下の通り曲目の一部を変更して開催いたします。
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 「トルコ風」 K. 219
モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 「ジュピター」 K. 551(変更なし)
バーンスタイン:ウエスト・サイド・ストーリー 『シンフォニック・ダンス』(変更なし)
第639回 定期演奏会
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
2022.1/27(木)19:00 すみだトリフォニーホール
〈サントリーホール・シリーズ〉
2022.1/28(金)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
https://www.njp.or.jp