曽根麻矢子(チェンバロ) J.S.バッハ連続演奏会《BWV》Ⅲ イギリス組曲第2番、第3番、第6番

デビューから30年のいま、ふたたび相対するバッハの傑作

(c)Yuji Hori

 日本を代表するチェンバロ奏者、曽根麻矢子が5年間で全10回にわたるJ.S.バッハ連続演奏会《BWV》に取り組んでいる。会場はHakuju Hall。2021年に「ゴルトベルク変奏曲」でスタートして、25年にふたたび「ゴルトベルク変奏曲」に帰ってくるという一大プロジェクトだ。

 そのシリーズ第3回となる公演が3月22日に開催される。曲はイギリス組曲第2番イ短調、第3番ト短調、第6番ニ短調。全6曲のイギリス組曲から3曲が厳選された。言うまでもなく、バッハの組曲はいずれも極め付きの傑作ばかり。なかでも凛とした形式美と深い味わいに満たされたイギリス組曲を好む人は多いのではないだろうか。すべて短調作品が並んだが、3曲だけを選ぶのであれば、滋味豊かさという点で納得のラインナップでは。

 そしてイギリス組曲は曽根にとって特別な作品でもある。1991年、フランスの名門レーベルERATOから世界デビューを果たした際のアルバムが、イギリス組曲集だった。このデビューアルバムから約30年を経て、同曲で曽根の今の姿を伝える。

 使用楽器はスイス在住の製作者デヴィッド・レイが曽根のために長い時間をかけて製作したという18世紀フレンチモデルのチェンバロ。白を基調として明るく色彩的なデザインが施された楽器で、きらびやかな音色とともに華やかな印象を与える。Hakuju Hallの快適な空間にいっそうの彩りを添えてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2021年12月号より)

2022.3/22(火)19:00 Hakuju Hall
問:チケットスペース03-3234-9999 
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