【SACD】11月の夜想曲〜新倉瞳 委嘱作品集(世界初演初録音)

 新倉瞳デビュー15周年記念アルバムは、5人の作曲家に新作を依頼、その初演ライブ録音を集めるという大胆なもの。サイの協奏曲の熱演は2020年3月に奇跡的に実現した公演、ほかは豪華共演者たちとの多彩な編成による21年1月公演の模様。流麗にして芯の強いチェロの音色と、新倉というアーティスト自身の魅力のなせる業だろう、聴きやすさと先鋭性を併せもつ快作ばかりで、各曲タイプが違うのに通底するものも感じられる。全編スタイリッシュながらオネゲルの一節による楽章が意味深な挾間作品、シンプルなカノンが深い感情を喚起する佐藤作品など、今後聴く機会が多くなりそうだ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年12月号より)

【information】
SACD『11月の夜想曲〜新倉瞳 委嘱作品集(世界初演初録音)』

ファジル・サイ:11月の夜想曲〜チェロと管弦楽のための/藤倉大:スパークラー〜チェロのための/挾間美帆:組曲「イントゥー・ジ・アイズ」/佐藤芳明:2つの楽器のための2つのカノン/和田薫:巫〜チェロと和太鼓のための 他

新倉瞳(チェロ)
飯森範親(指揮) 東京交響楽団
塚越慎子(マリンバ) 佐藤芳明(アコーディオン) 林英哲(太鼓)

収録:2020年3月、東京オペラシティ コンサートホール(ライブ) 他
アールアンフィニ
MECO-1065 ¥3300(税込)