クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮) 東京交響楽団

進化を止めない気鋭指揮者で聴く「カルミナ・ブラーナ」

クシシュトフ・ウルバンスキ (c)Marco Borggreve

 東京交響楽団の指揮台にクシシュトフ・ウルバンスキが帰ってくる。若き日のウルバンスキが東響に招かれた際は、リハーサル段階から作品を暗譜して臨むなど、オーケストラに鮮烈な印象を与えた。そして2013年から16年まで首席客演指揮者を務め、大きな成功を収めた。

 若く優秀な指揮者にいち早く目をつけたのは東響の慧眼というほかない。しかし裏を返せば優秀な人ほどつなぎ留めておくのは難しいもの。ウルバンスキの活躍の場はどんどんと広がり、14年にはベルリン・フィルへのデビューも果たした。19年3月、久しぶりに東響に客演してショスタコーヴィチの交響曲第4番他を聴かせてくれたが、それからコロナ禍を経てこの11月、2年8ヵ月ぶりの共演がようやく実現することとなった。

 プログラムはシマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番と、オルフの「カルミナ・ブラーナ」。シマノフスキはウルバンスキが力を入れる母国ポーランドの作曲家でもある。韓国出身の新時代のスター、ボムソリがソリストを務める。「カルミナ・ブラーナ」ではソプラノのアリーナ・ヴンダーリン、カウンターテナーの彌勒忠史、バリトンのビョルン・ビュルガーの独唱陣と新国立劇場合唱団、東京少年少女合唱隊が共演を果たす。パワフルな合唱は一大スペクタクルをもたらすことだろう。同時に、ウルバンスキが作品に新たな光を当ててくれるのではないかと期待している。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2021年11月号より)

*出演を予定していたヴァイオリンのボムソリ、ソプラノのアリーナ・ヴンダーリン、バリトンのビョルン・ビュルガーは、新型コロナウイルス感染症に係る入国制限により、出演を見合わせることとなりました。
代わってヴァイオリンに弓新、ソプラノに盛田麻央、バリトンに町英和が出演いたします。(10/29主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

第695回 定期演奏会 
2021.11/13(土)18:00 サントリーホール
川崎定期演奏会 第83回
 
11/14(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
https://tokyosymphony.jp