【CD】紫園香 フルート・リサイタル

 紫園香は、国際的に演奏活動を展開する実力派フルーティスト。今年4月に行ったステージのライブ録音は、彼女が敬愛する大バッハの作品を軸に。バロックは時代特有の作法を踏まえつつ、モダン楽器ならではの表現を追求。そして、ポツダム宮廷で下賜された主題に基づく「音楽の捧げもの」は、王宮をイメージしたフランセの舞曲集と、時空を超えて共鳴する。かたや、共演のピアニスト、藤井一興による委嘱新作などでは、鮮烈な響きの空間を構築。 “アンコール”に置かれた、蒔田尚昊(冬木透)の新聖歌「ガリラヤの風香る丘で」の深い祈りは、聴く者へ深い余韻をもたらす。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2021年10月号より)

【information】
CD『紫園香 フルート・リサイタル』

J.S.バッハ:ソナタ ニ短調、「音楽の捧げもの」よりトリオ・ソナタ ハ短調/テレマン:無伴奏フルートのためのファンタジー第1番/藤井一興:香る薔薇の雨降る聖テレーゼ/蒔田尚昊(柳瀬佐和子編):「ガリラヤの風香る丘で」新聖歌第40番 他

紫園香(フルート) 
藤井一興(ピアノ)
沼田園子(ヴァイオリン)
三宅進(チェロ) 

収録:2021年4月、東京文化会館(小)(ライブ)
ナミ・レコード
WWCC-7953 ¥2750(税込)