7月10日(土)、神奈川県大和市のやまと芸術文化ホールでぶらあぼが制作した映像作品の上映会が開催された。2020年12月18日サントリーホールで開催された読売日本交響楽団(以下、読響)の第九演奏会。ベートーヴェンの生誕250年というアニヴァーサリーでありつつも、コロナ禍で開催に困難を強いられたオーケストラの姿を収録している。本編は、公演の模様だけではなく、開催を決断した読響の事務局長や、例年と異なる編成でオケをリードしたコンサートマスター、活動自体に困難を極めた合唱指揮者、ドイツから来日し2週間の自主隔離を経て出演した常任指揮者のインタビュー、さらにリハーサル映像も加えたドキュメンタリー性のある構成になっている。
同ホールは、2016年にオープンした大和市文化創造拠点シリウス内にあり、クラシックやバレエ、ミュージカルなどの公演が行われている。シリウスは、ホールの他に図書館、生涯学習センター、屋内こども広場を擁する複合施設。広々したエントランスから扉を入ると建物は4階まで吹き抜けになっており開放的な雰囲気が漂い、子どもからお年寄りまで思い思いに文化的な時間を過ごしている。
今回の上映会は、1007席のメインホールで行われた。
上演後の感想
・迫力があってテレビで見るのとは全然違った。本編の演奏会だけでなく、冒頭にリハーサル風景などがあり、ドキュメンタリータッチになっていたのでより楽しめたと思う。舞台袖の映像があるのも面白かった。
・ぶらあぼをいつも読んでいるが、こういう試みをしているのは面白いと思った。第九だけでなく、他の曲もやってほしい。
・やはり第4楽章が感動的で涙が出ました。
・シリウスには来たことがあったものの、ホールは今回が初めてだった。いつもは、すみだトリフォニーや杉並公会堂などまで遠征しているが、近場のホールでこういう催しがあると嬉しい。また来たい。
・映画もコンサートホールもいけない日々だったので、観に来てよかった。
・読響の定期会員で、昨年末の横浜みなとみらいホールでのヴァイグレ指揮第九を聴いた。今回、映画になると知り、見に来たが、映像でも迫力があって楽しめました。いまなかなか音楽を聴くのが心配な状況ですが、来た甲斐があった。
・なんとなく想像していたものより、実際に見たら臨場感があって良かった。ソリストがうまかった。合唱を下からあおるカメラアングルで映した映像が特に迫力があった。
・家で見るよりずっと見応えがあった。テレビだとなかなか集中できないけど、ホールで観ると集中できるからいい。
・舞台の裏まで見られて感動
・これは多くの人と一緒に体験するライブパフォーマンス。映像だけどテレビにはない迫力がある。ホールで聴きながらコンサートでは見えない演奏家の表情が観られるのも面白い。新しい!
上映会の後、同ホールの岩野館長にお話を聞いた。
ーやまと芸術文化ホールの特徴はどのようなところですか?
年間300万人の来館がある「大和市文化創造拠点シリウス」という複合施設内にあることが特徴的だと思います。図書館、大型遊具でこどもが遊べる屋内こども広場、生涯学習センターがあり、施設同士が活動を連携することもあります。例えば、朗読劇コンサートや絵本を題材にしたコンサートは、ホールで実施するだけでなく、図書館でもその公演の関連書籍を展示します。複合施設である相乗効果やメリットを発揮し、大和市の文化芸術の発展と生涯学習の機能強化の両面を担っています。
ー今回の第九はいかがでしたか?
音も非常に良く、臨場感あふれる映像でとても満足できました。コロナ禍での音楽家たちの思いにも触れることができ、感慨深い気持ちで映像を見られたと思います。
まだまだコロナ禍なので、遠方のコンサート会場まで行けない市民の方々にも十分に楽しんでいただけたと思います。そして、生のオーケストラを見たくなる気持ちがわきますね。
ー今後、どのようなホールを目指していきたいですか?
このホールは、まずは市民に利用していただくことが一番です。指定管理1期目の5年間はこのホールを知っていただくことを目指し、達成ができました。2期目はこのホールを利用して、市民が主体的に文化芸術活動を実施することを目指しています。そのためにも、多彩な文化芸術に触れる、プロの音楽を鑑賞する等の場の創出や、市民と一緒に文化芸術活動を展開するなど、市民の文化芸術活動を促進することを目的に活動をします。
ーこの先の催し物などについて
先日開催した「市民がつくるコンサート」は、市内で活動する文化団体の方を公募し、本番を行いました。それ以外の企画でも、市内活動団体のご協力を仰ぎながら、「鑑賞する」だけに留まらない、「暮らしの中にある文化芸術拠点」としての役割を担っていけるような企画を推進していく予定です。
小田急江ノ島線・相鉄本線の大和駅から徒歩3分という好立地にあり、一箇所でさまざまなジャンルの文化的体験ができる。疲れたら館内のカフェでリフレッシュ。身近にあったら入り浸ってしまうこと間違いない魅力溢れる空間だ。
【公演情報】
●やまと芸術文化ホール
仲道郁代 不思議ボール
2021.8/8(日・祝)14:00
ピアノ=仲道郁代
<第1部「不思議ボール」>
田中カレン:こどものためのピアノ曲集「地球」より
1.海 2.生命の水 3.オゾン 4.バイオエネルギー 5.風力エネルギー
6.ひとりぼっちのゾウガメ ジョージの夢 7.海 8.大地
9.ひとりぼっちのゾウガメ ジョージの歌 10.光 11.地球
<第2部「ミニリサイタル」>
ショパン
:幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
:ワルツ 第6番 変ニ長調「小犬」 op.64-1
:ワルツ 第7番 嬰ハ短調 op.64-2
:ノクターン 第20番 嬰ハ短調“レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ”(遺作)
:バラード 第1番 ト短調 op.23
「マリコとオペラ!」
~作家・林真理子のトーク・コンサート~
2021.9/12(日)14:00
林真理子(作家)
小林沙羅(ソプラノ)
望月哲也(テノール)
河野紘子(ピアノ)
浦久俊彦(ナビゲーター)
演奏曲目(予定)
プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より “わたしのお父さん”
歌劇「トゥーランドット」より “誰も寝てはならぬ”
マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(ピアノソロ)
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」より
“冷たき手を”、“私の名はミミ”、“愛らしい乙女よ”(二重唱)
カタラーニ:歌劇「ラ・ワリー」より “さよなら故郷の家よ” ほか
やまと芸術文化ホール
https://yamato-bunka.jp/hall/
●読売日本交響楽団
大成建設 Presents サマーフェスティバル2021《三大交響曲》
2021.8/18(水)18:30 東京芸術劇場
小林資典(指揮)
シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 D759「未完成」
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界から」
第644回名曲シリーズ
2021.8/23(月)19:00 サントリーホール
セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
イサン・エンダース(チェロ)
カバレフスキー:歌劇「コラ・ブルニョン」序曲
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番 ト短調 作品126
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 作品47
読売日本交響楽団
https://yomikyo.or.jp
●読響第九2020 作品に関するお問合せ(上映会を開催する方 対象)
株式会社 ぶらあぼホールディングス
info@mde.co.jp