「ソナチネ・アルバム」第1巻に続いて第2巻を収めた本作は、クーラウやクレメンティらの「ソナチネ・パート」と、バッハからチャイコフスキーまでが選曲された「小品パート」の2枚組。“ピアノ教則本の録音”というと、かしこまったイメージがあるかも知れないが、佐藤卓史の演奏は、古典派〜前期ロマン派の音楽の生き生きとした息吹を感じさせ、個々のチャーミングな小品への敬愛に満ちている。シンプルな和声や音階のようなメロディーにも、瑞々しい表現が宿る。ピアノ学習者から古典派を中心とした鍵盤音楽を愛する人まで、誰もが楽しめるアルバムだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2021年8月号より)
【information】
CD『ソナチネアルバム 第2巻/佐藤卓史』
クーラウ:ソナチネ op.55-4〜6、同op.88-1,2/クレメンティ:ソナチネ op.37-2、同op.38-1〜3/伝ベートーヴェン:ソナチネ Anh.5-1,2/ディアベリ:ソナチネ op.151-1〜3/バッハ:インヴェンション ハ長調/ボッケリーニ:メヌエット ハ長調/シューマン:楽しき農夫/チャイコフスキー:イタリアの歌 他
佐藤卓史(ピアノ)
ナミ・レコード
WWCC-7948-9(2枚組) ¥4400(税込)