宮本文昭(指揮)東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 2014/15年シーズン

“男の花道”を見逃すな

(C)有田周平
(C)有田周平

 2012年の就任以来、“完全燃焼”を掲げて邁進してきた東京シティ・フィルの音楽監督・宮本文昭が、2014/15年に指揮者としての最後のシーズンを迎える。就任前インタビューした際に彼は、「3年の任期が終わったら指揮を辞める」と語っていた。これは、オーボエ奏者にもきっぱりと終止符を打った彼の“男の美学”なのだ。
 来シーズン、宮本は同楽団の定期演奏会に3回登場し、「独襖もの」「ロシアもの」「フランスもの」を指揮する。これらは彼が継続して取り組んできたカテゴリー。そこで、「巨人」(5/16)、「展覧会の絵」(9/13)、「海」&「ダフニスとクロエ」(2015/3/21)など、集大成に相応しい演目が選ばれている。またティアラこうとう定期(11/1)では、「カルミナ・ブラーナ」を取り上げ、レクイエム等で続いた「声楽大曲」路線を締めくくる。
 音楽監督として采配を振るう他の公演も意欲的なプログラムが並んでいる。開幕は桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎のブルックナー。ここでシティ・フィルの歴史を象徴し、他の指揮者陣には、垣内悠希、川瀬賢太郎、三ツ橋敬子ら、将来の大物候補を揃えた。ソリストにも福間洸太朗(ピアノ)、山根一仁(ヴァイオリン)、橋本杏奈(クラリネット)といった俊才を起用するなど、未来を見据えた登用が目を引く。さらに演目で特徴的なのが、随所に配したレア作品。中でも11月定期は、クラウス、ヴァイルの交響曲、ニールセンの協奏曲などファン垂涎の内容だ。
 いずれにせよ、“音楽家”宮本の活動は続く。だが、来期は指揮者としての“男の花道”だ。
文・柴田克彦
(ぶらあぼ2014年1月号から)

第279回定期演奏会★2014年5月16日(金) Lコード:39579
第282回定期演奏会★2014年9月13日(土) Lコード:35524
第287回定期演奏会★2015年3月21日(土)
会場:東京オペラシティコンサートホール

第39回ティアラこうとう定期演奏会
★2014年11月1日(土)・ティアラこうとう Lコード:35538
問:東京シティ・フィルチケットサービス03-5624-4002 
http://www.cityphil.jp
*発売日などの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。