ヴィットリオ・グリゴーロ(テノール)来日直前! 緊急オンライン会見を実施

 現代最高のテノール歌手の一人、ヴィットリオ・グリゴーロが6月22日より、東京、大阪、福岡でリサイタル 4公演を行う。公演に先立ち、スイス(ルガーノ)の自宅と東京を結び、Zoomでの緊急オンライン記者会見が行われた。
 
 会見には、今回の招聘元であるコンサート・ドアーズ代表取締役の小林雅行も出席。この6月は、当初パレルモ・マッシモ劇場の来日公演で、グリゴーロがアンジェラ・ゲオルギューと《ラ・ボエーム》で共演する予定だったが、オペラは22年6月に延期。だが「世界最高峰の劇場からオファーが続き、スケジュールがなかなかとれないスター・テノール」のソロ・リサイタルがついに実現する。グリゴーロは来日予定日の6月6日から14日間の隔離期間を経て公演に臨むという。

ヴィットリオ・グリゴーロ 写真提供:コンサート・ドアーズ

 今回の来日にあたりグリゴーロは次のように抱負を語る。
「このような困難ですべてが停滞している時に、可能性にかけて音楽を届けることがとても重要です。なぜなら私たちの人生は復活に向けて進んでいかなければいけないからです。
 まだ少し早いと思われる時期に、私を信頼し、公演を決断してくださったコンサート・ドアーズの小林さんには感謝しています。今なにを信じるかが重要で、自分たちが進んでいく道を信じ、道をそれずに信念を貫くことが大事だと思うのです。
 今回日本に行くことで生じる14日間の隔離期間を受け入れることを決めたのは、やると信じたことをやるため、音楽を届けるため、それが人生をポジティブにし、素晴らしい明日へと向かうためだと思ったからです」

 日本に対しては感謝を忘れないという。
「私は日本と、いままでもお互いを尊敬し、名誉を重んじ、正義を信じて関係を築いてきました。英国ロイヤル・オペラ《ファウスト》で来日した際(2019年9月)には、カーテンコールの私をみて日本の皆さんは非常に大きな拍手をしてくださいました。私はアリアを歌う時も、カーテンコールの時も、舞台に立っている時は常に演ずることを忘れません。カーテンコールの私の態度が、時にふざけていると悪くとらえられてしまうことがあるなかで、そのことを日本の皆さんが理解してくださったのだと感じました。
 コンサートの時でも、私は全身を使い、オペラと同様に演じ歌います。ボディーランゲージを使って歌った歌手は、私が初めてではないかと自負しています」

オンライン記者会見の模様 写真提供:コンサート・ドアーズ

 コロナの状況下で新たなことにも取り組んでいたという。
「ワイン作りを始めたんです。私がオペラ・デビューを果たしたドニゼッティ《愛の妙薬》では、ネモリーノが媚薬というワインを飲みます。ワインと声はだんだんと熟成するところが似ていて、熟成すると素晴らしいワインになるのと同じで、しっかり勉強すれば最高の声になる。私が作っているワイン名は『オペラヴィーヴァ(生きているオペラ)』です。ぶどうを育てる際には、自分が歌うドニゼッティ、プッチーニやヴェルディの音楽を聴かせて育てています。
 また昨年2月を最後に仕事がない期間、8月には大きなギフトをもらいました。それは娘が産まれたことです。父親デビューしたことで、新しい感情を得ることができ、両親に対しても初めて理解できたことがいくつもありました。ですから娘がコロナを忘れさせてくれたのです」

 舞台に立てない時間、その他にもいろんなことに興味が尽きなかったという。
「私はアーティストであり、テノール歌手ですが、世界の中で生きていくことが芸術だと思って生きています。どこかに閉じこもって人生を送る人間ではありません。絵を描いたり、彫刻や料理、読書をしたり、車やバイクに触れたり、ずっといろんなことをしています。舞台で歌っていない間も、例えば料理を振る舞う時はテーブルがステージです。
 もちろんオペラは重要な仕事で、それを世界の方々と分け合うことが大きな喜びですが、それ以外のことを自分の人生から排除していません。私は性格がはっきりしているので、そのことがコロナ禍でも自分自身を救ってくれたと思っています。
 この期間に難しい日々を送ったのは若い芸術家たちです。経済的なことは自分を含めて誰もが難しさがありましたが、それを言い訳にしないで、何とか解決策をみつけて、目的を果たすためには何をすべきかを前向きに考えるのが私の性格です」

提供:コンサート・ドアーズ

 また、ロックダウン中には《カルメン》《道化師》《カヴァレリア・ルスティカーナ》など勉強し、レパートリーを増やしたという。今後のレパートリーについて質問が及ぶと、「レパートリーを変えていっていると言い方は違うかもしれませんが、予定されていた公演に向けて準備をしていました。アレーナ・ディ・ヴェローナでは、イタリアで有名な若手映画監督ガブリエレ・ムッチーノ演出の《道化師》に出演予定でした。映画にも興味があるので、今後ムッチーノの映画で出演の話もあります。
 フランス語を母国語とする小学校に通っていたため、フランスオペラは言葉の面では苦労しませんでした。より難しいのは歌唱面で、イタリアオペラとは全く違うものがあります。細密画を描く修道僧のように非常に細かいところまでケアする気持ちで歌わなければいけないのです。
 《ロメオとジュリエット》を含むフランスオペラは今後も歌い続けますが、イタリアオペラに関しては声の音色が変わってきているので、《リゴレット》含めていくつか歌わなくなる作品があります。いまは《仮面舞踏会》や《イル・トロヴァトーレ》を歌ってみたいです」。

 来日に向けてエネルギーが満ちている状態だと意気込む。
「舞台に立ちたいという待ちきれない気持ちでいます。舞台の上で生き、ライブの音楽でみなさんとともに、ほほえみをかわし、歌い踊りたい気持ちです。コロナは予測できないことがいっぱいありましたが、人生は毎日変化や新しいことがあるからこそ楽しく、美しい。日本に行くことは待ちきれないし、そこで新たな違う自分を見せられたらと思うのです。ピアノのマルコ・ボエーミとはリハーサルを重ねており、準備は万端! 日本に行くのを楽しみにしています」


【Information】
ヴィットリオ・グリゴーロ テノール リサイタル

2021.6/22(火)19:00 サントリーホール
問:コンサート・ドアーズ03-3544-4577

http://concertdoors.com
6/27(日)17:00 フェスティバルホール
問:フェスティバルホール06-6231-2221
https://www.festivalhall.jp
6/30(水)19:00 福岡シンフォニーホール
問:アクロス福岡チケットセンター092-725-9112

https://www.acros.or.jp
7/3(土)15:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990

https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

出演
ヴィットリオ・グリゴーロ(テノール)
マルコ・ボエーミ(ピアノ)
曲目
ドニゼッティ:オペラ《愛の妙薬》より「人知れぬ涙」
ヴェルディ:オペラ《リゴレット》より「あれかこれか」
マスネ:オペラ《マノン》より「目を閉じると(夢の歌)」
プッチーニ:オペラ《ラ・ボエーム》より「冷たき手を」
プッチーニ:オペラ《トスカ》より「星は光りぬ」 他