メキシコ音楽の祭典

鮮やかな中米サウンドを楽しむ


 甘くノスタルジックなメロディで知られる小品「エストレジータ」。この作曲者マヌエル・ポンセがメキシコ人であるということさえ知らない人が多いかもしれない。しかし、大丈夫。日本ではあまり演奏される機会のなかったメキシコ音楽を集めたコンサートが東京オペラシティで二日にわたって開催されることになった。
 3月28日の《室内楽の夕べ》では、そのポンセのギター曲をはじめ、ヴァイオリンとピアノのための「ソナタ・ブレーベ」「ガヴォット」などが披露される。また指揮者としても活躍したチャベスのピアノ曲、アルメンゴールの歌曲など、近代のメキシコ音楽を語る上で欠かせない作曲家の作品が紹介される。
 3月30日は《オーケストラ・コンサート》と題して、ポンセの「ヴァイオリン協奏曲」、チャベスの「ピアノ協奏曲」(日本初演)、レブエルタスの民族色豊かな管弦楽曲「マヤ族の夜」などが演奏される。オーケストラは東京フィル。指揮はメキシコからホセ・アレアンが来日して、その腕をふるう。ヴァイオリンは若手の注目株アドリアン・ユストゥス、ピアノは中堅のゴンサロ・グティエレスが担当。彼らの実力を示してくれるだろう。どの作品にも、中米で独自の古い文化を持つメキシコらしい多様な魅力が詰まっている。旋律が豊かで、リズムも多彩な作品が多く、それが鮮やかな管弦楽によって表現されている。事前知識がなくても楽しめる演奏会になるだろう。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2014年3月号から)

室内楽の夕べ
★3月28日(金)・東京オペラシティ リサイタルホール
オーケストラ・コンサート
★3月30日(日)・東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp
ローソンチケット Lコード:35741