圧倒的な表現力で紡ぐシューベルト最後のソナタ
「待ちかねていた…」と思わず漏らしてしまう人も、きっと多いはず。磨き抜かれた技巧と深い精神性に裏づけられた表現力で紡ぎ上げた、独自の音楽世界で聴衆を魅了するピアノのマリア・ジョアン・ピリス。ソロリサイタルとしては、実に16年ぶりとなる来日ツアーが、いよいよ実現する。ソリストとしてはもちろん、室内楽でも名手として知られる彼女。3年前に東京でピリスの名を冠したプロジェクトが開かれ、リートの伴奏から4手まで多彩なプログラムを聴かせ、さらに昨春にはチェロのアントニオ・メネセスと共に、素晴らしい名演を披露してくれた。全国を巡る今回は、2011年に録音したディスクでも滋味豊かな秀演を聴かせたシューベルト最後のソナタである第21番と、同じくシューベルト晩年の「4つの即興曲D.899」を大枠に。ここへ「プレリュード」「サラバンド」「トッカータ」と3つの表情の異なる小品からなる、ドビュッシー「ピアノのために」を据えた。
文:寺西肇
(ぶらあぼ2014年3月号から)
★3月7日(金)・サントリーホール(ヒラサ・オフィス03-5429-2399)、11日(火)・横浜みなとみらいホール(神奈川芸術協会045-453-5080)
※上記以外の公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.hirasaoffice06.com