【CD】ひとすじに/松本美和子

 1972年ローマ国立歌劇場デビュー以降、世界各国の主要オペラ劇場に出演。日本ではトスティ歌曲の第一人者としても知られ、現在は次世代の育成にも全力で取り組む大輪のソプラノによる喜寿記念盤。円熟を極めた彼女が無理のない発声で歌い上げる5ヵ国語もの歌曲は圧巻。古典歌曲に始まりモーツァルト、シューマンときて、白秋&耕筰の〈からたちの花〉ではよく知られた初代ではなく第2の方をとりあげ、楚々とした魅力を私たちに再発見させてくれる。後半のフォーレやプーランクの難曲も美しい。これまでのキャリアを振り返るライナーの鼎談も読み応えあり。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2020年11月号より)

【information】
CD『ひとすじに/松本美和子』

サルティ:いとしい女(ひと)から遠く離れて/トスティ:あなたと一緒に!/モーツァルト:ラウラに寄す夕べの想い/R.シューマン:「リーダークライス」より〈間奏曲〉/山田耕筰:からたちの花 Ⅱ/畑中良輔:「八木重吉による五つの歌」より/フォーレ:月の光、夢のあとに/プーランク:「アラゴンの2つの詩」より〈セー〉 他

松本美和子(ソプラノ)
椎野伸一(ピアノ)

日本アコースティックレコーズ
NARD-5073 ¥2800+税