DGレーベル初の専属女性チェロ奏者によるアルバム第2弾は、人々に「希望の声」を届けたいというコンセプトで主に歌の名曲たちをチェロ編曲版で収録した意欲作。その核となるのはトルコ出身の鬼才ファジル・サイが2015年11月のパリ同時多発テロに触発されて書き下ろしたチェロ協奏曲「ネヴァー・ギヴ・アップ」(世界初録音)であるが、ラヴェルの〈カディッシュ〉やユダヤ教の旋律に基づくブルッフの〈コル・ニドライ〉とワーグナーの歌曲、そしてホロコーストを題材にした〈シンドラーのリストのテーマ〉を大胆にも1枚に併録したことが実に素晴らしい!
文:東端哲也
(ぶらあぼ2020年7月号より)
【information】
CD『ヴォイス・オブ・ホープ/カミーユ・トマ』
ラヴェル:カディッシュ/ファジル・サイ:チェロ協奏曲「ネヴァー・ギヴ・アップ」/ブルッフ:コル・ニドライ/ワーグナー:夢/J.ウィリアムズ:映画『シンドラーのリスト』テーマ/ドニゼッティ:人知れぬ涙/ベッリーニ:清らかな女神よ
カミーユ・トマ(チェロ)
ステファヌ・ドゥネーヴ(指揮)
ブリュッセル・フィルハーモニック 他
ユニバーサル クラシックス
UCCG-40099 ¥2800+税