北欧から現れた世界を揺るがす才能
今もっとも注目される若手指揮者クラウス・マケラが都響の指揮台に再登場する。マケラは1996年、フィンランド生まれ。近年、若くして脚光を浴びる指揮者は決して珍しくはないが、それにしても今年24歳の若さと聞けば、驚かずにはいられない。しかもこの年齢で2020/21シーズンからオスロ・フィルの首席指揮者兼アーティスティック・アドヴァイザーに指名されており、現在スウェーデン放送響の首席客演指揮者も務める。ミュンヘン・フィルやロンドン・フィルなど、各地の主要楽団からも次々と招かれており、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
マケラはすでに2018年5月に都響に客演して日本デビューを果たし、センセーショナルな成功を収めている。その際のメイン・プログラムはシベリウスの交響曲第1番。決して派手なプログラムではなかったにもかかわらず、SNSなどでも大きな反響を呼び、再度の客演を望む声が多かった。
そして、この4月、マケラはシベリウスとショスタコーヴィチを組み合わせたプログラムで都響に帰ってくる。フィンランド人指揮者である以上、シベリウスはどこへ行っても求められるレパートリーであり続けるだろうが、反ロシア的な愛国の音楽である交響詩「フィンランディア」に、第二次世界大戦の独ソ戦を題材としたショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」を組み合わせるというアイディアはおもしろい。
おそらく今後どんどん多忙になるであろうマケラ。チャンスは逃せない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2020年3月号より)
*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は中止となりました。(4/3主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
第901回 定期演奏会Cシリーズ
2020.4/20(月)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第902回 定期演奏会Aシリーズ
2020.4/21(火)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp