都響メンバーによる室内楽トークコンサート Vol.17

多彩なアンサンブルの愉悦

 「調理場のレビュー」と題された、都響メンバーによる室内楽トークコンサートが開催される。日頃オーケストラで聴く都響の名手たちに、ピアノの三舩優子が加わって、愉悦に満ちた室内楽とトークのひとときを過ごせるだろう。
 「調理場のレビュー」とはマルティヌーの同名の組曲のこと。クラリネット、ファゴット、トランペット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノというユニークな編成で、キッチン用品たちがバレエを繰り広げるというユーモラスな作品だ。
 マルティヌー作品以外の選曲もバラエティに富んでいる。モーツァルトのクラリネット五重奏曲は作曲者晩年の大傑作。クラリネット(糸井裕美子)のふくよかな響きを堪能したい。モーツァルトと同時代人で管楽器のための作品を多数残したドゥヴィエンヌの作品からは、ファゴット四重奏曲第3番ト短調を。独奏楽器としてのファゴット(向後崇雄)の魅力を再発見できそう。作風としてはモーツァルトに近い。
 サン=サーンスの七重奏曲が聴けるのも嬉しい。トランペット、ピアノ、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという独特の編成を持つ。華やかで軽快なトランペット(高橋敦)が、サン=サーンスの軽妙洒脱さをいっそう際立たせる。
 多彩な編成の作品を同時に味わえるのもオーケストラのメンバーによる室内楽だからこそ。もうひとつの都響がここに。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2013年11月号から)

★12月8日(日)・東京文化会館(小)
問 都響ガイド03-3822-0727 
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