2017年に好評を博した全集に続いて14枚目となる、飯森範親&山響のモーツァルト交響曲のCD。「ポストホルン」セレナードの第1、5、7曲による一作、クラリネットを加えた第40番の改訂版、偽作説が有力な「オーデンセ」交響曲という内容は、まさしく“番外編”に相応しい。演奏自体も生き生きとして密度が濃く、中でも溌剌たる「ポストホルン」作品は、魅力的な新交響曲として再生されている。40番も当コンビの長年の取り組みを反映した熟度を感じさせ、「オーデンセ」は明確に表出された楽曲の異質感が興味を煽る。選曲を含めて妙味十分の一枚。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年2月号より)
【information】
SACD『モーツァルト:交響曲全集 プラス/飯森範親&山響』
モーツァルト:交響曲 ニ長調 K.320(セレナード第9番「ポストホルン」第1曲、第5曲、第7曲)、同第40番 K.550(改訂版)、同イ短調 K.Anh.220(16a)「オーデンセ」
飯森範親(指揮)
山形交響楽団
オクタヴィア・レコード
OVCL-00711 ¥3200+税