麗しき男装歌手たちの魅力に迫る
オペラの中で、女性が男装して演ずる登場人物を「ズボン役」と呼ぶ。となれば、宝塚のカッコいい男役が連想されるだろうが、オペラのそれは18世紀から存在し、《フィガロの結婚》のケルビーノのようなませた少年から、《ばらの騎士》のオクタヴィアンのように、理性と血気を備えるヒロイックな青年もいる。オペラでは何より「声のコントラスト」が大切で、多彩な声音を作曲家が操れば音楽も物語も膨らむのである。現実とは異なる歌声でキャラクターの「心」を味わう手段として、ズボン役は昔から愛されてきた。
そこで、この12月、昭和音楽大学アートマネジメントコースが企画立案するコンサート「Borderless Songs ―性別を越える音楽達―」にご注目を。学生たちが、丹呉由利子(メゾソプラノ)、北薗彩佳(同)、杉山沙織(同) を軸としてズボン役の名場面を一挙にご紹介。解説付きのステージで、声とドラマが爽やかに溶け合うさまをお楽しみに。
文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2019年12月号より)
昭和音楽大学音楽芸術運営学科アートマネジメントコース企画制作演習企画公演 Vol.2
Borderless Songs —性別を越える音楽達—
2019.12/9(月)18:30 昭和音楽大学南校舎5階 ユリホール
問:昭和音楽大学アートマネジメントコース企画制作室044-959-5121
https://www.tosei-showa-music.ac.jp/