溢れ出る創意によって、古の音楽に新たな生命を与える精鋭集団「アントネッロ」。彼らが、14世紀イタリアを代表する詩人で音楽家でもある、フランチェスコ・ランディーニのバッラータを中心に取り上げた録音(1998年)の高音質リマスター盤。「バッラータ」とは本来、厳格な拍や脚韻に基づく詩の形式の一種で、これに作曲されたものも同名で呼ばれる。時に清冽、時に悲愴、時に艶めかしい鈴木美登里の歌声。濱田芳通はじめ、管弦の名手たちがしなやかに操る、変幻自在な音色。そして、武久源造が紡ぐ、オルガネットの素朴な味わい。リアルな手触りで、聴く者を600年前の街角へ誘う。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年11月号より)
【information】
CD『ランディーニ:わが愛しの女よ〜バッラータの世界〜/アントネッロ』
ランディーニ:わが愛しの女よ、麗しき美しさに、私の悲しい眼よ、希望を追うために、眼には大粒の涙、想いに耽って/作曲者不詳:イスタンピッタ「喜びの始まり」 他
アントネッロ
【鈴木美登里(ソプラノ) 石川かおり(フィーデル) 西山まりえ(オルガネット/ハープ/ソプラノ) 星野麗(レベック) 武久源造(オルガネット) 永田平八(中世リュート) 濱田芳通(コルネット/リコーダー/スライド・トランペット)】
マイスター・ミュージック
MH-4066 ¥3000+税