16歳で渡米して研鑽を積み、若くしてデビューを果たし帰国後も多方面で活躍をみせる大森ひろみと、14歳より本格的なレッスンを始めた型破りで、多種多様な音楽を境界線なく扱う感性で人気を集める佐藤祐介。師弟関係にあるピアニスト2人が4手連弾の名曲を鮮烈に紡いだ一枚。ハンガリーのクルタークが1973年から書き重ねている小品を始曲と終曲に据え、彼の編曲によるバッハの静謐なコラール3曲を核にして、ロシアのローゼンブラットや米国のコリリアーノ、英国のベネットらの現代曲を散りばめつつ、古典や民族音楽からジャズへと続く流れさえも語っている。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年11月号より)
【information】
CD『セレンディピティ ピアノ連弾作品集/大森ひろみ&佐藤祐介』
クルターク:「ヤーテーコック 第8集」より〈花、人のように…〉/ローゼンブラット:2つのロシア民謡によるコンチェルティーノ/コリリアーノ:ガゼボ舞曲集/J.S.バッハ(クルターク編):われらまさにキリストを讃うべし、深き苦しみの淵よりわれ汝に呼ばわる、「神の時こそ、いと良き時」より〈ソナティーナ〉/ベネット:カプリッチョ 他
大森ひろみ、佐藤祐介(ピアノ)
録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9022 ¥2800+税