【CD】ショパン&シューマン/高田泰治

 ドイツと関西を拠点とする高田泰治が、ピリオド楽器による演奏活動を続けるテレマン室内オーケストラ、同楽団の創設者、延原武春の指揮とともに、ロマン派の大作曲家の協奏曲を録音した意欲的なアルバム。ショパンでは作曲家が愛したエラール(1856年パリ)のオリジナル楽器を使用。滑らかなレガートの表現が香り高い音で奏される。一方のシューマンではイルムラー(1848年ライプツィヒ)の表情豊かな音を巧みに操り、フォルテピアノならではの深みのある音を聴かせる。各楽器の特色が際立って興味深い。聴くほどに、作曲家が耳にした音に思いを馳せる楽しみが広がる。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2019年11月号より)

【information】
CD『ショパン&シューマン/高田泰治』

ショパン:ピアノ協奏曲 第1番
シューマン:ピアノ協奏曲

高田泰治(フォルテピアノ)
延原武春(指揮)
テレマン室内オーケストラ

収録:2018年8月、大阪市中央公会堂中集会室(ライヴ)
ナミ・レコード
WWCC-7906 ¥2500+税