マーラー「告別」とシューベルトの全作風を巡る
歌手とピアニストによる“最少の室内楽”、「リート・デュオ」という演奏スタイルを確立した、メゾソプラノの白井光子とピアニストのハルトムート・ヘル。美しいドイツ語を紡ぐ白井と、言葉の色調とともに見事に変化していくヘルのピアノによるアンサンブルは、ドイツリートの“神髄”を、演奏はもちろん、教育活動によっても全世界に伝えてきた。2017年にデュオ結成45周年を迎えた二人は、同年に第一生命ホールにてシューマンの「女の愛と生涯」などを演奏し、改めてドイツリートの演奏とは“詩を語ること”であると聴衆に伝えると同時に、大きな感動を与えてくれた。
同ホール3回目の出演となる今回は、晩年のマーラーの死生観が描かれ、作曲家としての集大成ともなった大作「大地の歌」の最終楽章〈告別〉を中心に、シューベルトすべての創作時期の作品が並ぶ。ドイツリートの歴史を一気に駆け巡るかのようなプログラムで、世界を代表するリート・デュオの演奏を堪能しよう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2019年9月号より)
2019.10/19(土)15:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
https://www.triton-arts.net/