福間洸太朗が、自身のピアノ人生における重要な出来事とゆかりのフランス音楽を集めたアルバム。自ら編曲を手がけた「ラ・ヴァルス」や「ジュ・トゥ・ヴ」は、品の良さが保たれつつ、ピアノならではのハーモニーの厚みと色彩が楽しめる。福間も協力して楽譜が出版されたワイセンベルク「シャルル・トレネによる6つの歌の編曲」は、親しみやすいメロディから多様な感情を受け取ることができる。いずれも肩の力が抜けたこれぞフランスの粋という表現と音で、作品を自分のものとしていることが伝わる。福間の洗練された感性とバランス感覚、高いテクニックが生きたアルバム。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2019年6月号より)
【Information】
CD『France Romance/福間洸太朗』
ドビュッシー:夢、レントより遅く/ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、ラ・ヴァルス(福間編)/サティ:ジュ・トゥ・ヴ(同)/ワイセンベルク:シャルル・トレネによる6つの歌の編曲/ルノワール:聞かせてよ、愛の言葉を(同) 他
福間洸太朗(ピアノ)
ナクソス・ジャパン
NYCC-27308 ¥2500+税