樫本大進(ヴァイオリン)

“最強の”バロック・アンサンブルと共に

C)Keita Osada(Ossa Mondo A&D)

 名門ベルリン・フィルの精鋭を中心に組織され、モダン楽器の特性を生かしつつ、ピリオド奏法を採り入れた鮮烈なサウンド創りで“最強のバロック・アンサンブル”とも称される「ベルリン・バロック・ゾリステン(BBS)」。初夏の日本で敢行するツアーのソリストには、ベルリン・フィル第1コンサートマスターの樫本大進が登場、ヴィヴァルディ「四季」をはじめ、珠玉の名曲を綴る。
「メンバーとの関係性が、以前とは全く異なります。仕事上でも、個人的にも、互いの信頼度が増し、僕のことを皆が理解してくれているのを感じます」

 第1コンサートマスターに正式就任した直後の2011年以来、8年ぶりとなるBBSとの共演を前に、樫本は言う。BBSはモダン楽器にピュア・ガット弦、バロック弓の使用を主とするが、「僕自身は、いつも通りに臨む予定です」とのこと。

 BBSは1995年、かつてベルリン・フィルの第1コンサートマスターを務め、樫本の師でもあったヴァイオリンのライナー・クスマウルらによって創設。ベルリン・フィルのメンバーと、それ以外のバロック音楽のスペシャリストたちによって構成される。
「異なるアプローチをする人との共演は、とても良いこと。お互いに“知っている”ということは、プラスになることはあっても、マイナスになることは決してありませんから」

 今回の日本ツアーは、2つのプログラムともヴィヴァルディの「四季」が軸に。
「この作品は子どもの頃から知っているものの、意外と自分の演奏機会は少なく、そのほとんどが、BBSとの共演です。まぎれもなく素晴らしい音楽ですし、バロックの曲であっても、今の時代でも共有できるエモーション(感情)が込められている。ヴィヴァルディは、素晴らしいものをこの世に残してくれたと思います」

 かたや、バッハ「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」では、ベルリン・フィルの首席オーボエ奏者、ジョナサン・ケリーと共にソリストを務める。
「ジョナサンは、僕の大好きな音色を奏でてくれる素晴らしいアーティスト。オケの中でも頼りになるし、ちょっとしたアイコンタクトで通じ合えるパートナーです。今回が初めてとなる、彼とのバッハを、すごく楽しみにしています」

 普段は名門楽団のコンマスとして、大編成のオーケストラをリードする自身にとって、小編成でのバロックに取り組むことの意義とは。
「信頼できる仲間と一緒に、ある程度の頻度で取り組むことが出来るのは、とても良いことですね。実は、ベルリン・フィルでも、年に1度はバロックのスペシャリストを迎えて、バロック・プロのステージを行っています。奏法自体まで変えませんが、“本物”を教えてもらえる、非常に面白い機会。いつも楽しみに臨んでいます。そうして与えられた機会、一つひとつを大事にしていければと考えています」
取材・文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年5月号より)

ベルリン・バロック・ゾリステン × 樫本大進
2019.6/25(火)武蔵野市民文化会館(完売)
6/26(水)すみだトリフォニーホール(アスペン03-5467-0081)
6/28(金)広島/上野学園ホール(RCC事業部082-222-1133)
6/29(土)福島市音楽堂(024-531-6221)
6/30(日)山形テルサ(023-646-6677)
7/4(木)ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川芸術協会045-453-5080) 
※公演によりプログラムは異なります。