多様なアプローチでメンデルスゾーンの芸術性を浮き彫りに
「Mプロジェクト」とは、年間を通じて1人の作曲家をテーマに据え、様々なステージで同じ作曲家の作品を取り上げる中から、その音楽性のみならず、人間像を掘り下げてゆく、佐世保のホール、アルカスSASEBOのオリジナル企画。4年目となる2019年度は、生誕210周年を迎える夭折の天才・メンデルスゾーンにスポットを当てる。
シリーズ全11ステージの中でも、特に注目のひとつは、創立から60余年、わが国を代表するプロ声楽家集団として活躍を続ける東京混声合唱団の特別公演(6/9 大ホール)。音楽監督の山田和樹の指揮、福間洸太朗のピアノで、メンデルスゾーンの合唱の名曲の中から「三つの民謡」を。ここへ、「この道」「手紙」ほか、合唱に編曲された古今の日本の名曲を共鳴させる。
また、第1ヴァイオリンの川崎洋介はじめ、国内外の一線楽団の首席級で組織された、レジデンス(座付き)弦楽四重奏団「アルカス・クァルテット」が、第9回定期を開催(7/20 中ホール)。メンデルスゾーンの第5番を軸に、ヴィクトル・ウルマンとフィリップ・グラスの第3番、バーバー「アダージョ」やガーシュウィン「子守歌」など近現代の作品を組み合わせ、ユダヤ民族が生み出した、特有の美学を浮き彫りに。
秋には、常任指揮者の広上淳一に率いられ、関西の精鋭・京都市交響楽団が来演(9/8 大ホール)。人気ヴァイオリニストの古澤巌を迎えてのメンデルスゾーンの名協奏曲ほかを披露する。そして、ベルリン・フィルに史上最年少の17歳で入団した、敏腕コントラバス奏者、エディクソン・ルイースのリサイタルにも期待したい(9/29 中ホール)。来年2月には、ヴァイオリニストの豊嶋泰嗣を音楽監督に、名手が集結したホール独自の室内楽団「チェンバー・ソロイスツ・佐世保」も登場(2020.2/23 中ホール)。鮮烈なサウンドで、シリーズを締め括る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年4月号より)
会場:佐世保/アルカスSASEBO
問:アルカスSASEBO 0956-42-1111
※「アルカスSASEBO Mプロジェクト2019」の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.arkas.or.jp/