【CD】ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ/石上真由子

 聴くときは万全の態勢を整えてから再生ボタンを押してほしい。ヤナーチェクの第一音の衝撃。大胆。しかし不敵ではなく真摯。奏者が完全に作品を自分の中に消化して、それを表現しきる濃密な音色、高い技術、そして熱き魂を持っていることが一瞬で明らかになる。果たして、全曲を聴くほどにその印象は強まっていく。当盤は新進気鋭のアーティストを世に送り出す新レーベル「Opus One」の第1弾に抜擢された、ヴァイオリニスト石上真由子の驚くべきファーストアルバム。医師免許も持つ異才だが、経歴は後回しでいい。今はただ聴いて、無二の才能に出会えた幸運に感謝するばかり。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年3月号より)

【Information】
CD『ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ/石上真由子』

ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ/ラヴェル:ハバネラ形式のヴォカリーズ/ラフマニノフ:ヴォカリーズ/幸田延:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調

石上真由子(ヴァイオリン)
船橋美穂(ピアノ)

日本コロムビア
COCQ-85448 ¥2000+税