上岡&新日本フィルのライヴCD第4弾。まずは、20世紀初頭の“後期ロマン派の翳”ともいうべき3作品を収録した、日本のオーケストラには稀な内容が光っている。レーガー作品はとりわけ繊細で美しく表出され、レアな曲の魅力を伝えるに充分。ニールセンの序曲は、曲全体の起伏が精緻かつスケール大きく表現され、ツェムリンスキーの交響詩も、映像的なイメージが豊かな表情で描かれている。上岡のタクトに鋭敏に応えた新日本フィルのデリケートな演奏も秀逸。ライヴでは看過した様々なニュアンスを感知させてくれる点においても、CD化の意義は大きい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年7月号より)
【information】
SACD『レーガー:ベックリンによる4つの音詩、ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」他/上岡敏之&新日本フィル』
レーガー:ベックリンによる4つの音詩
ニールセン:序曲「ヘリオス」
ツェムリンスキー:交響詩「人魚姫」
上岡敏之(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
収録:2017年10月、サントリーホール 他(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00663 ¥3200+税