ベルリン・フィルがCD「アジア・ツアー2017〜ライブ・フロム・サントリーホール」をリリース

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(以下BPO)が、2017年11月に行われたサイモン・ラトル指揮によるアジア・ツアーのライヴ音源を収録したボックスCDのリリースを前に、サントリーホール内で記者会見を行った。同フィル・メディア代表のオラフ・マニンガー(ソロ・チェロ奏者)、メディア子会社「ベルリン・フィル・メディア」取締役のローベルト・ツィンマーマンに加え、スペシャル・ゲストとして音楽評論家の奥田佳道が出席した。
(2018.4/12 サントリーホール ブルーローズ Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE)

左より:オラフ・マニンガー、ローベルト・ツィンマーマン

 BPOの自主レーベル、ベルリン・フィル・レコーディングスからリリースされる「アジア・ツアー2017〜ライブ・フロム・サントリーホール」は、SACD5枚+Blu-ray1枚で構成される。SACDには、ラトルにとってBPO首席指揮者として最後の来日公演となった、17年11月のサントリーホールでの2つの演奏会が丸ごと収録されている。曲目は、R.シュトラウス「ドン・ファン」、ブラームス「交響曲第4番」、ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」、ラフマニノフ「交響曲第3番」、バルトーク「ピアノ協奏曲第2番」など。ソリストには、ユジャ・ワン、チョ・ソンジンが登場する。Blu-rayには、同時期に香港、武漢、ソウルで行われた公演の映像のほか、アジア・ツアーの舞台裏を紹介したドキュメンタリーがボーナス映像として併録されている。また、初回特典として、日本公演の写真による特製フォトブックが封入された豪華ボックス仕様となっている。

左より:奥田佳道、オラフ・マニンガー、ローベルト・ツィンマーマン

 マニンガーは、これまでのBPOと日本、アジアとの関わり、そしてBPOが多くの公演を行ってきたサントリーホールへの想いを以下のように語った。
「私たちのオーケストラのアジア・ツアーには長い歴史があります。一番初めはカラヤンと2機のプロペラ機に分乗しての来日でした。それから60年経ちましたが、日本への愛情は変わりなく続いています。15年ほど前から日本以外にも、韓国、中国、台湾、香港などにも演奏旅行に行くようになりましたが、日本の聴衆の皆様の音楽に対する造詣の深さ、集中力の高さは格別です。私たちの本拠地、ベルリンのフィルハーモニーはヴィンヤード形式で、透明感のある素晴らしい響きがしますが、サントリーホールにも同じような感じを持ちますし、よりまろやかな響きになる印象があります。今回のディスクでは、会場のライヴ感や臨場感を味わっていただけると思います」
 奥田によれば、サントリーホールがフィルハーモニーと同様のヴィンヤード形式で、1986年のオープン当初からパイプオルガンを備えた背景には、ベルリンでカラヤンから受けたアドバイスがあったという。カラヤンは、最後の来日となった88年にBPOとともに同ホールのステージに経ち、翌89年に亡くなった。
 一方、ツィンマーマンは「非常に嬉しく思っているのは、今回初めてドキュメンタリーという形でアルバムを作ることができたことです。ツアーにはビデオ&オーディオ・チームをベルリンから同行させました。このボックスでは、映像や写真でアジア・ツアーの全貌を日記のような形でご覧いただけます」と新譜を紹介した。
 
Berliner Philharmoniker
http://www.berliner-philharmoniker.de/

【CD】
★アジア・ツアー2017〜ライブ・フロム・サントリーホール
KKC-9327/32(5SACD+1BD) ¥11,000+税
ベルリン・フィル・レコーディングス/キングインターナショナル
※日本語帯・解説付 デジタル・コンサートホール7日チケット付
5/20(日)発売
http://www.kinginternational.co.jp/classics/kkc-932732/