飯森範親&日本センチュリー響によるハイドン第3弾。交響曲第99番はハイドンが弟子のベートーヴェンに筆写させた自信作。傑作に相応しい充実した演奏で、トゥッティのエネルギーの爆発は目を見張るばかりだ。序奏の半音階進行が全曲の各所に現れる緻密な構成も解りやすく聴かせる。緩徐楽章の木管の絡みも美しく、終楽章の対位法楽句やウィット感の表出も楽しい。第96番「奇蹟」もノンビブラートの透明な響きがきれいで爽やかだ。初期の第18番では第2楽章が生き生きと弾んで秀逸。第30番「アレルヤ」も音色対比が新鮮で聴きごたえがある。
文:横原千史
(ぶらあぼ2018年5月号より)
【information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.3 /飯森範親&日本センチュリー響』
ハイドン:交響曲第96番「奇蹟」・第18番・第99番・第30番「アレルヤ」
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2015年11月&16年2月、いずみホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00662 ¥3200+税