鮮やかなドイツ・ロマン派の響き
田部京子の「シューベルト・プラス」が今年も開かれる。2016年、シューベルトの命日である11月19日にスタートし、翌年の7月、そして再び命日と続けられ、来たる6月22日に4回目を迎える。過去3回はシューベルトの晩年のソナタ(第18、19、20番)を1作ずつ取り上げてきたが、今回はコンサートの幕開けに「4つの即興曲D935」を聴かせる。4曲でひとまとまりの大きなソナタとも捉えられるシューベルト晩年の大曲を、リリカルで内省的な田部のピアノがじっくりと伝えてくれるだろう。“プラス”と銘打つとおり、本シリーズではシューベルトの作品に加えて、古典・ロマン派の優れた作品も紹介される。今回登場するのは、メンデルスゾーンとシューマンという同時代人。田部はメンデルスゾーンの「夏の名残のばら」による幻想曲、そしてシューマンの「謝肉祭」という、両者の若かりし時代の作品を選んだ。鮮やかなるドイツ・ロマン派の響きにも酔いしれたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2018年5月号より)
2018.6/22(金)19:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/