世界に向けて響かせる「歓喜の歌」
国際的な活躍を続ける指揮者の西本智実と、彼女が芸術監督兼首席指揮者を務めるイルミナートフィルハーモニーオーケストラ、イルミナートヴァチカン合唱団が、今年もカトリックの総本山で行われるヴァチカン国際音楽祭からの招請を受け、11月に楽聖ベートーヴェンの孤高の傑作「第九」こと交響曲第9番「合唱付」を演奏する。これに先立ち、世界に向けての「歓喜の歌」を響き渡らせる。
名門・ロシア国立響や同国立歌劇場の指揮者を外国人として初めて歴任、英ロイヤル・フィルやリンツ・ブルックナー管など世界30ヵ国のオーケストラと共演を重ねてきた西本。2013年にヴァチカン国際音楽祭から招請を受け、枢機卿ミサで長崎・平戸に伝わる「オラショ」の原曲となるグレゴリオ聖歌を455年ぶりに復元演奏した。以来、毎年、ローマ教皇代理ミサでの演奏の模様はヴァチカンTVによって世界35ヵ国へ中継。今年もサン・ピエトロ大聖堂での同ミサでの演奏を予定している。
兵庫県立芸術文化センターと、東京文化会館でのステージは、まさにその“壮行会”と言えるかもしれない。西本は兵庫公演で大阪交響楽団、東京公演では手兵イルミナートフィルを振り、ソプラノ熊本佳永、アルト野上貴子、テノール二塚直紀、バリトン桝貴志(兵庫)・田中勉(東京)という豪華なソリスト陣を迎えて、有志で組織されたイルミナートヴァチカン合唱団と共に熱演を展開。現地でも披露する、モーツァルトの「戴冠式ミサ」なども併せて演奏される。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2016年9月号から)
9/24(土)14:00 兵庫県立芸術文化センター
問:大阪アーティスト協会06-6135-0503
9/28(水)19:00 東京文化会館
問:オフィスTEN 03-3593-3221
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