武満徹の音楽を多角的に見つめ直す
アルカスSASEBOは、長崎県・佐世保駅にほど近い、2000席の大ホールと500席の中ホールを中核とする公共の文化施設。同ホールの新企画『Mプロジェクト』は、発信者のやる気を感じさせる意欲的な仕掛けが満載。1年間、複数の主催公演にまたがって、一人の作曲家に注目したプログラムを組む。初回の2016年度は、没後20年の武満徹がテーマ。各公演の“タケミツ”色は多彩で、個展もあれば、他の作曲家との音楽的関わりに着目したプログラムもあり、さまざまな視点から遠近法的に武満の音楽が浮かび上がる。
5月はフルートの名手エマニュエル・パユとベルリン・フィル・メンバーの室内楽。パユが独奏曲「ヴォイス」を吹く。彼の師であるオーレル・ニコレに献呈された作品だ。7月は武満の映画音楽特集。奏者が豪華。coba(アコーディオン)、渡辺香津美(ギター)、鈴木大介(ギター)、ヤヒロトモヒロ(パーカッション)。武満ファンなら「おおっ」と唸る、カーネギーホールなどでも実績のあるセッションだ。9月にはおなじみ池辺晋一郎指揮のオーケストラ公演で「3つの映画音楽」が披露される。12月にはレジデントのアルカス・クァルテットが登場。武満の「ア・ウェイ・アローン」を軸に、彼の創作に影響を与えた作品を並べる。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)
5/8(日)15:00 エマニュエル・パユ with フレンズ・オブ・ベルリン・フィル
7/2(土)19:00 武満徹 映画音楽の世界
9/22(木・祝)15:00 池辺晋一郎&N響団友オーケストラ*
12/3(土)15:00 アルカス・クァルテット 第6回定期演奏会
アルカスSASEBO 中ホール *9/22のみ 大ホール
問:アルカスSASEBO 0956-42-1111
http://www.arkas.or.jp
※各公演の発売日を含む詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。