2月8日、NHK交響楽団の首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが記者会見を行ない、来る2016/17シーズンへの抱負を語った。
まず定期公演については、2016年9月、2017年2月、同6月に出演し、計7種類のプログラムを指揮する。
「今シーズンは特にふたつの点に注目してほしいと思います。ひとつは没後20年を迎える武満徹の作品をとりあげること。『ア・ウェイ・ア・ローンⅡ』『ハウ・スロー・ザ・ウィンド』などを指揮します。もうひとつは母国エストニアの作曲家であり、ともに長年の友人でもあるトゥールとペルトの作品を日本初演します。ペルトの『シルエット』は私とパリ管弦楽団のために作曲された作品です」
今シーズンはマーラーの作品も数多く演奏される。シーズンの幕開けを飾るN響創立90周年特別企画として、9月にマーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」が演奏され、さらに10月の特別公演ではマーラーの交響曲第3番がとりあげられる。
なお、サントリーホールの休館期間にあたる2017年の2月から6月にかけてはB定期が休止され、この間に横浜みなとみらいホール、NHKホール、ミューザ川崎シンフォニーホールで公演が開催される。横浜みなとみらいホールでは、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」が演奏され、昨年以来取り組むマーラー・チクルスが一段と進められることになる。
また、来年は4年ぶりとなるヨーロッパ公演が開催され、パーヴォ・ヤルヴィ指揮のもと、ベルリン、ルクセンブルク、パリ、アムステルダム、ロンドン、ウィーン、ケルンの7都市を巡り、武満徹の「弦楽のためのレクイエム」、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」、ショスタコーヴィチの交響曲第10番、他が演奏されると発表された。
「N響とはこれまでの共演を通じて、お互いの距離が縮まり、よりよい関係を築けていると思います。様々なレパートリーをとりあげることにより、オーケストラもどんな点が私にとって大切なのか、すぐに理解してくれるようになりました。有機的でロジカルな結びつきが生まれたと感じています」
すでにセンセーショナルな成功を収めている首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィとN響のコンビだが、来シーズンはさらなる高みを目指す一年となりそうだ。
(取材・文:飯尾洋一 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)
●N響90周年記念特別演奏会マーラー「一千人の交響曲」2016年9月8日(木)19:00NHKホール
マーラー/交響曲第8番変ホ長調「一千人の交響曲」
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
独唱・合唱:
ソプラノ:エリン・ウォール
ソプラノ:アンジェラ・ミード
ソプラノ:クラウディア・ボイル
アルト:アンネリー・ペーボ
テノール:ミヒャエル・シャーデ
バリトン:ミヒャエル・ナジ
バス:アイン・アンガー
合唱:新国立劇場合唱団
合唱:栗友会合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
●N響90周年記念
第1851回定期公演(Aプログラム)
ビゼー:歌劇《カルメン》
2016年12月9日(金)18:00、11日(日)15:00 NHKホール
ビゼー/歌劇「カルメン」(全4幕・演奏会形式)
指揮:シャルル・デュトワ
独唱:ケイト・アルドリッチ(カルメン)、マルセロ・プエンテ(ドン・ホセ)、シルヴィア・シュヴァルツ(ミカエラ) 、イルデブランド・ダルカンジェロ(エスカミーリョ)ほか
合唱:新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団
●N響90周年記念
ベートーヴェン「第9」演奏会
2016年12月21日(水)19:00、23日(金・祝)15:00、24日(土)15:00、25日(日)15:00 NHKホール
ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
独唱:
ソプラノ:シモーナ・シャトゥロヴァ
アルト:エリーザベト・クールマン
テノール:ホエル・プリエト
バリトン:パク・ジョンミン
合唱:東京オペラシンガーズ
●N響90周年&サントリーホール30周年特別公演
マーラー《交響曲第3番》
2016年10月6日(木) 19:00サントリーホール
マーラー/交響曲 第3番
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
アルト:ミシェル・デ・ヤング
女声合唱:東京音楽大学
児童合唱:NHK東京児童合唱団
◆NHK交響楽団 速報!新シーズン定期公演 出演者・曲目発表(2016-17 Season)
http://www.nhkso.or.jp/news/14885/