大曲と小品で披露するオールマイティな魅力
ラトル指揮ベルリン・フィルとの共演をはじめ、今シーズンも活発な活動を続けるオランダ生まれのヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセン。この2月、紀尾井ホールで2012年以来となる待望のリサイタルを開く。
今回のリサイタルで目をひくのは、プログラミングの妙。前半がずしりとした聴きごたえを残す本格派プロ、後半がぐっとリラックスして楽しめる小品集といった構成になっている。
その前半に演奏されるのはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番とバルトークのヴァイオリン・ソナタ第2番。晴朗で穏やかな曲調のブラームスと、モダニズムと民族主義が一体となったバルトーク、それぞれ作風はまったく異なるが、ともに内省的で真摯な手触りを持った作品である。
対して後半は、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」を入口に、クライスラーの「ウィーン小行進曲」や「愛の悲しみ」、ファリャの歌劇《はかなき人生》第2幕から「スペイン舞曲第1番」(クライスラー編)、「7つのスペイン民謡」からの抜粋等、まるでアンコールを先取りするかのような親しみやすい小品が並ぶ。
一回の演奏会でジャニーヌ・ヤンセンの持つ多面的な魅力をすべて伝えようかとするような、意欲的なプログラムが実現した。ピアノは名手たちがこぞって共演者に選ぶイタマール・ゴラン。息の合ったところを聴かせてくれることだろう。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年1月号から)
2016.2/17(水)19:00 紀尾井ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp