【CD】アライヴ ALIVE/黒金寛行

NHK交響楽団の奏者として存在感を発揮している名手の、意外にも初のソロ・アルバム。いい意味でバストロンボーンとは思わせない(テナーでも表出至難な?)柔らかく滑らかな音色やフレージングと、バスらしい重厚で豊かな響きが共生した好ディスクだ。全体に金管楽器の限界を超えた音楽表現力が素晴らしく、中でもザクセの「コンチェルティーノ」やボザの「ニュー・オーリンズ」、中川の「トライセンス」等の定番曲は聴きものだし、「リサイタルのように」企図された流れも絶妙。同じ藝大出身で長年共演を重ねている城の呼吸の合ったピアノも光っている。

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2026年10月号より)

【information】
CD『アライヴ ALIVE/黒金寛行』

カステレード:協奏的幻想曲/ザクセ:トロンボーン・コンチェルティーノ/ブオノ:エレジー/ノレ:モノローグ/田中裕香:バストロンボーンとピアノのための「アライブ」/ボザ:ニュー・オーリンズ/中川英二郎:トライセンス/宮沢賢治(西下航平編):星めぐりの歌

黒金寛行(バストロンボーン)
城綾乃(ピアノ)

妙音舎
MYCL-00082 ¥3410(税込)


柴田克彦 Katsuhiko Shibata

福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。