
名匠ピンカス・ズーカーマンが、昨年に続いて今年も東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に登場する。
ズーカーマンは、1948年イスラエルのテルアビブ生まれのヴァイオリニスト。アイザック・スターンに見出されて10代でジュリアード音楽院に留学、名教師イヴァン・ガラミアンに師事した。世界的な活躍を続けるなかで、指揮の経験も重ねてきた。
指揮者として東京フィルと初めて共演したのは、2023年の「渋谷の午後のコンサート」でのこと。2年後の25年の定期演奏会で再会が実現、今回が早くも3回目の登場だから、聴衆からも楽団員からも好評を得ていることがよくわかる。

優れた器楽奏者が指揮をするとき、とりわけ弦楽器や管楽器など、オーケストラの編成にも含まれる楽器の奏者の場合は、楽団員たちと一種の仲間意識で結ばれて、一体感のある演奏が生まれることが珍しくない。特に、バロック音楽から古典派、前期ロマン派にかけての、19世紀前半までの二管編成の作品では、奏者の自発性が自然に引き出されて、積極的で活力に満ちた演奏になりやすいのだ。
今回はオール・モーツァルト・プログラムなだけに、その効果が大いに期待できる。快活な歌劇《フィガロの結婚》の序曲で幕を開け、ズーカーマンが独奏も担当して「弾き振り」を披露するヴァイオリン協奏曲第3番、そしてト短調の名作、交響曲第40番と人気曲がそろうだけに、生彩に満ちたコンサートになるだろう。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ2026年5月号より)
ピンカス・ズーカーマン(指揮/ヴァイオリン) 東京フィルハーモニー交響楽団
第1032回 サントリー定期シリーズ
2026.6/18(木)19:00 サントリーホール
第1033回 オーチャード定期演奏会
6/21(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522
https://www.tpo.or.jp

山崎浩太郎 Kotaro Yamazaki
1963年東京生まれ。演奏家の活動と録音をその生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書は『演奏史譚1954/55』『クラシック・ヒストリカル108』(以上アルファベータ)、片山杜秀さんとの『平成音楽史』(アルテスパブリッシング)ほか。
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