今春、日本のクラシック音楽シーンを牽引してきたホールが、ひとつの区切りを迎えます。
東京文化会館が、大規模改修のため今年5月から休館。1961年に開館し、コンサートやオペラ、バレエなど、日本が誇る「音楽の殿堂」として様々な公演を行ってきました。再び開館するのは、2028年度中と発表されています。
そこで、編集部は3月某日、関係者向けに行われた改修前最後のバックステージツアーに参加。その様子を少しだけ、読者の皆様にお届けします!
ツアーの前には、東京文化会館のインターン生によって企画された特別コンサートが行われました。同館が主催する東京音楽コンクール弦楽部門で一昨年、第2位に輝いた平井美羽さんら注目の若手奏者から成るカルテットによる、オペラやバレエの名曲揃いのプログラム。室内楽の演奏を大ホールで聴く、というなかなかに貴重な体験となりました。

さて、コンサートが終わり、いよいよバックステージツアーへ。小澤征爾、リッカルド・ムーティ、ズービン・メータ……。数々の巨匠が立ってきた格式高い舞台へ足を踏み入れます。
まずは、カーテンコール体験から。バレエやオペラの公演後、緞帳が上がって一列に並んだアーティストたちがお辞儀をしたり、緞帳の隙間からソリストたちが出てくるワンシーンはご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。そうです、そのシーン!


その左右にある木製の反響版も、劇場の華やかさを演出してくれている。
ツアー参加者全員で舞台に一列になり幕が上がると、視界に広がる観客席。その眺めは、圧巻のひと言。これが、名立たる音楽家たちが見てきた景色……。感慨深さに浸りつつ、しっかりと景色を目に焼き付けます。
続いては、舞台袖へ移動。今年で開館65年を迎える東京文化会館の舞台袖や廊下、壁のいたるところには、憧れのアーティストたちのサインがびっしり。なかには小澤征爾さんのサインも!



フィラデルフィア管弦楽団による七夜連続公演の際に書かれたもの。
東京文化会館の長い歴史を感じつつ、続いては楽屋へ。世界に名を馳せるソリストや指揮者たちが、本番前のひと時をここで過ごしました。廊下には珍しいスタインウェイのアップライトピアノが。このピアノを楽屋に入れて、ソリストが練習することもあるのだとか。

そして次は、オペラやバレエ公演の際にはかかせないオーケストラピット! ぐるりと黒で覆われるなかに、1ヵ所だけ白の壁が。ここは指揮者の立ち位置。ブラックの衣装を身に着けることの多い指揮者が壁に同化してしまわないよう、指揮を見やすくするための工夫だそうです。

オーケストラピットのせり上がりまで体感し、最後に向かったのは大ホールホワイエ。見上げた天井に広がるのは、照明によって作られた天の川。ホールの設計を担当した前川國男さんのこだわりだそう。夜になると照明の天の川は窓ガラスに映り、満点の星空がホールを包みます。
そんなロマンチックな星空が広がる東京文化会館も、もうすぐ一旦見納め。現在開催中の「東京・春・音楽祭」をはじめ、休館までは連日様々なコンサートが行われます。世界から愛されるホールの音響を記憶に残しに、ぜひ足を運んでみてください。

東京文化会館
https://www.t-bunka.jp/

