
右:金子三勇士 ©Seiichi Saito
指揮者の小林研一郎(通称コバケン=1940年生まれ)が東京都新宿区の名誉区民として顕彰された(2025年1月14日付)ことを記念するコンサートが5月31日、新宿文化センターで開かれる。
名誉区民条例は新宿区の誕生50周年を記念して1996年12月に制定され、小林が21人目の顕彰者となる。1979年開館の新宿文化センターは都心部を代表する演奏会場のひとつで、2025年9月に約2年間のリニューアル工事を終えたばかり。記念演奏会の管弦楽は同じく新宿区内に本拠を構える東京フィルハーモニー交響楽団が担う。
プログラムはロシア音楽特集。前半はハンガリー人を母に持ち、ロシア&東欧の作品に強い親和力を発揮する金子三勇士が、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を独奏する。後半は「コバケン十八番」の極みであるチャイコフスキーの交響曲第5番。大胆に伸縮するアゴーギク(速度法)と独特の節回し、大団円に向けた激しい燃焼などを通じ「炎のコバケン」のイメージを確立した“勝負曲”である。正規盤も5種類以上出ているが、最初のLP盤(フォンテック)は1982年6月28日、新宿文化センターで行われた新星日本交響楽団第57回定期演奏会のライブ。どこまでも激しく燃える演奏で、故・宇野功芳氏がライナーノーツで「小林研一郎は正真正銘の舞台人である」と絶賛した。44年後の2026年、86歳のコバケンが新星日響の流れをくむ東京フィル(2001年に合併)と同センターの同じ舞台に立ち、この曲を演奏する意義は大きく、ご本人の感慨もひとしおだと思われる。
文:池田卓夫
(ぶらあぼ2026年4月号より)
小林研一郎 新宿区名誉区民顕彰記念コンサート
2026.5/31(日)15:00 新宿文化センター
問:新宿文化センター03-3350-1141
https://www.regasu-shinjuku.or.jp/bunka-center/

池田卓夫 Takuo Ikeda(音楽ジャーナリスト@いけたく本舗®︎)
1988年、日本経済新聞社フランクフルト支局長として、ベルリンの壁崩壊からドイツ統一までを現地より報道。1993年以降は文化部にて音楽担当の編集委員を長く務める。2018年に退職後、フリーランスの音楽ジャーナリストとして活動を開始。『音楽の友』『モーストリー・クラシック』等に記事や批評を執筆する他、演奏会プログラムやCD解説も手掛ける。コンサートやCDのプロデュース、司会・通訳、東京音楽コンクール、大阪国際音楽コンクールなどの審査員も務める。著書に『天国からの演奏家たち』(青林堂)がある。
https://www.iketakuhonpo.com

