宮越圭子は邦楽器から成る日本音楽集団の十七絃箏のメンバーとして長年活躍してきた。本盤は中低音域で合奏の土台を支えるこの楽器の独奏曲を集めたアルバムの再発。日本音楽集団の最大の業績は、伝統の枠を超え、邦楽に西洋にも通じる普遍的な広がりを与えた点にあろう。ここに収録された各曲も、虚空に消えていく単音から肉厚で重厚なサウンドまで、ずっしりとした躯体を共鳴させてダイナミックに組み立てられている。箏の音色がチェロを思わせる深みや広がりを持ったかと思えば、ピアノのような多層的なテクスチュアを編み上げる。箏がここまで饒舌な楽器であったかと驚かされる一枚だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年4月号より)
【information】
CD『宮越圭子 十七弦箏の世界』
牧野由多可:主題と変容「風」/中島靖子:四つの即興曲/長沢勝俊:四つの前奏曲 /佐藤敏直:十七絃のためのファンタジー/吉松隆:なばりの三ツ/新実徳英:プレリュード
宮越圭子(十七弦箏)
山田明美(二十弦箏)
ナミ・レコード
WWCC-8046 ¥3080(税込)


