フルート界の重鎮たる工藤重典、彼に師事した新鋭フルーティスト瀧本実里、若き実力派ピアニスト五十嵐薫子によるトリオ。大バッハの作品はモダン・フルートならではの華やかさが前面に。モーツァルトの自動オルガンのための「幻想曲」では、音色の異なる2人のフルートのフーガでの響きの重なりが麗しい。セカンドを吹く瀧本の落ち着いた音色が全体を引き締める。ベルリオーズのオラトリオ「キリストの幼時」や、フルート奏者御用達のドップラーやベームといった作品も交え、バラエティに富んだ選曲だ。なかでも、ドビュッシーの「小組曲」での息の合ったアンサンブルが出色か。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年3月号より)
【information】
CD『パラフレーズ~フルート・デュオ作品集~/工藤重典&瀧本実里&五十嵐薫子』
J.S.バッハ:ソナタ BWV1029/モーツァルト:幻想曲 K.608/ベルリオーズ:オラトリオ「キリストの幼時」よりトリオ/ベーム:メンデルスゾーンとラハナーによる3つのデュオ/ドビュッシー:「小組曲」より/ドップラー:シューベルトの主題によるコンサート・パラフレーズ 他
工藤重典 瀧本実里(以上フルート)
五十嵐薫子(ピアノ)
マイスター・ミュージック
MM-4550 ¥3520(税込)

鈴木淳史 Atsufumi Suzuki
雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
https://bsky.app/profile/suzukiatsufmi.bsky.social



