京都コンサートホールは1月29日、2026年度(2026年4月~2027年3月)の主催事業ラインナップに関する記者発表を開催。館長の鷲田清一(哲学者)、ミュージックアドバイザーの広上淳一(指揮者)、プロデューサーの高野裕子が登壇した。

©京都コンサートホール
2025年度、開館30周年を迎えた京都コンサートホール。数々の意欲的な活動により“文化芸術都市”としての京都を牽引し続けた点が評価され、一般財団法人地域創造の「令和7年度地域創造大賞(総務大臣賞)」を受賞した。そして、新たな一歩を踏み出す次年度のテーマに据えられたのは「時を超える響き」。伝統と革新が共存する京都の地域性を背景に、時代や国境、世代を超えて響き合う音楽体験を届けたい、という願いが込められているという。
大ホール公演の呼びものの一つとなるのが、第30回を迎える「京都の秋 音楽祭」の開会記念コンサートだ。9月12日、京都市交響楽団と指揮・園田隆一郎によって演奏されるのは、マーラーの交響曲第2番「復活」。二人のソリスト、船越亜弥(ソプラノ)&八木寿子(メゾソプラノ)に公募による市民合唱団も加わり、音楽祭の歴史を象徴する壮大なスケールで生への賛歌が響く。その京響は、今年創立70周年の節目を迎える。かつて同楽団の常任指揮者を務めた小林研一郎が11年ぶりに登場、得意とするチャイコフスキー&ドヴォルザークの名曲を披露する公演(11/8)は、記念年を祝うのにふさわしい情熱的な演奏となるはずだ。また、現在のシェフ・沖澤のどかは京都コンサートホールの事業を語るうえで欠かせない存在である京都市ジュニアオーケストラの公演(27.2/6)を指揮。ソリストには京都市立芸術大学の専任講師も務める髙木竜馬が迎えられ、次代を担う若い音楽家たちを一歩先のステージへと導いてくれるだろう。

海外オーケストラの来日公演も充実。5月30日には、13年ぶりに来日するフランス放送フィルハーモニー管弦楽団が大ホールに登場。音楽監督就任を控えたヤープ・ヴァン・ズヴェーデンのタクトのもと、ソリストの藤田真央と紡ぐラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、そしてドビュッシーやラヴェルなどお国ものの名曲を披露する。9月26日にはサー・アントニオ・パッパーノ率いるロンドン交響楽団が、世界の階段を駆け上る若きヴァイオリニスト・HIMARIとプロコフィエフの協奏曲第2番で共演。さらに2027年3月22日には、昨夏のザルツブルク音楽祭への出演で指揮者としての評価も確かなものとしたピアニスト・反田恭平が、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団と登場。オール・モーツァルト・プログラムを弾き振りする。

藤田真央 ©Johanna Berghorn/Sony Music Entertainment、
サー・アントニオ・パッパーノ ©Frances Marshall、HIMARI ©Naruyasu Nabeshima、
反田恭平 ©Yuji Ueno
小ホール・アンサンブルホールムラタに出演するアーティストでまず注目したいのは、現在J.S.バッハの鍵盤作品全集の録音に取り組む世界的奏者、バンジャマン・アラールだ。10月17日にチェンバロ、その翌週24日には大ホールでパイプオルガンを演奏、バッハ作品の真髄に迫る。実力派ヴァイオリニスト、アリーナ・イブラギモヴァ率いるキアロスクーロ・カルテットが、フォルテピアノ奏者・川口成彦を迎え「京都でしか聴くことのできない」特別なプログラムを披露する公演(7/3)や、日本のオペラ界を牽引する森谷真理(ソプラノ)と大西宇宙(バリトン)のデュオ・コンサート(12/5)なども耳目を集める。アンサンブルホールムラタが誇る、海外アーティストによるコンサートシリーズ「北山クラシック倶楽部」も、ホルショフスキ・トリオ(ピアノ三重奏団・6/17)、イ・ヒョク(ピアノ・9/10)らによる充実の5公演を予定。

キアロスクーロ・カルテット ©Joss Mckinley、川口成彦 ©Shin Matsumoto、
森谷真理 ©TAKUMI JUN、大西宇宙 ©Marco Borggreve
期待の若手音楽家の今を聴くことができる、平日昼のトーク付きランチタイム・コンサート「京都北山マチネ・シリーズ」。その特別回として、昨年夏に好評を博した広上淳一&沼尻竜典による連弾コンサートが再演される(日程調整中)。広上は「指揮者二人が肩を寄せ合ってピアノを弾くことはめったにないですから、沼尻さんとの“漫談”も含めて気軽に楽しんでいただけたら嬉しいです」とはにかみながらコメントをのこした。

アウトリーチ事業「Join us(ジョイ・ナス)!」では、2026年度から第4期登録アーティストが迎えられる(同年春決定)。これまで、ヴァイオリニストの石上真由子(第1期)をはじめ京都ゆかりの若手音楽家が各所にクラシックの生演奏を届けてきた、同ホール肝煎りのプロジェクトなだけに、新たな顔ぶれにも期待が高まる。昨年よりスタートした鷲田清一館長によるトーク・イベント「音とことばと。」は今年も継続。赤松玉女(画家)、永江朗(作家)ら館長と親交の深い文化人、そしてピアノなどの音楽演奏における脳・身体の働きを研究する演奏科学者・古屋晋一が登場する。鷲田はゲストとの一期一会のトークに期待感をあらわしつつ、「これからの10年の間には、大規模改修による休館も挟まります。その期間中も、ホールとしての活動をどのように行っていくか。普段できないような取り組みも含め、プランを練り始める1年になると思います」と、2026年度事業の位置づけについて総括した。30周年という節目を超え、どのような飛躍の一年となるか、京都コンサートホールの今後に注目したい。
文:編集部
写真提供:京都コンサートホール
京都コンサートホール
https://www.kyotoconcerthall.org
