第9回仙台国際音楽コンクールピアノ部門を制したエリザヴェータ・ウクラインスカヤによるファイナル演奏曲のライブ録音。モーツァルトの協奏曲ハ長調K.467では、端正でありながら隅々まで喜びに満ちた音楽が広がる。大舞台でも瑞々しさを失わない姿勢が印象的で、第3楽章は華やかさとスリルに満ちる。一方、チャイコフスキーの第1番では冒頭の和音からスケールの大きな音楽が圧巻だ。一段深く、遠くへ飛ばす音の鳴らし方はまさにロシア・ピアニズムの系譜。高関健指揮の仙台フィルも両作品で見事に呼応し、コンクール本番ならではの熱量を鮮烈に伝える。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2026年2月号より)
【information】
CD『第9回仙台国際音楽コンクール ピアノ部門優勝/エリザヴェータ・ウクラインスカヤ』
モーツァルト:ピアノ協奏曲 ハ長調 K.467/チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
エリザヴェータ・ウクラインスカヤ(ピアノ)
高関健(指揮)
仙台フィルハーモニー管弦楽団
収録:2025年6月、日立システムズホール仙台(ライブ)
フォンテック
FOCD9928 ¥2640(税込)

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。


