藤岡幸夫&東響の「THE協奏曲」——若尾圭良・佐藤晴真・福間洸太朗の妙技を一挙に堪能

左より:藤岡幸夫 ©Shin Yamagishi/若尾圭良 ©Adriana Kopinja/佐藤晴真/福間洸太朗 ©Shuga Chiba

 3月の東京交響楽団の川崎定期演奏会「THE協奏曲」は、協奏曲だけが3曲並んだ、オケの定期には珍しい内容。藤岡幸夫の熱いタクトのもと、ヴァイオリン、チェロ、ピアノの作品が揃う上に、2006、1998、1982年生まれ=3世代の演奏家がソリストを務める点が興味をそそる。

 ボストンに生まれたヴァイオリンの若尾圭良は、21年メニューイン国際ヴァイオリンコンクールのジュニア部門で優勝して以来、世界的に活躍し、24年9月にはネルソンス指揮ボストン響とシーズンオープニングガラコンサートに出演するなど期待度は抜群。今回はその実力を知る絶好の機会となる。チェロの佐藤晴真は、19年ミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人初優勝を果たして以来、第一線で活動を続けており、端正かつ芳醇な演奏は唯一無二の魅力に溢れている。ピアノの福間洸太朗も、20歳の時にクリーヴランド国際コンクールで日本人初優勝を果たして以来、著名ホールでのリサイタルや一流楽団との共演を続ける国際的名手で、多彩なレパートリーや表現力は高く評価されている。

 今回は凝った演目も要注目。佐藤が弾くドヴォルザークの最高傑作=チェロ協奏曲を挟んで、若尾はプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番、福間はサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」を披露する。中でもエジプトの旋律も用いたエキゾティックなサン=サーンス作品は、生演奏に触れること自体が貴重。それに3曲とも民族的要素を交えたメロディアスで明快な音楽だけに、楽曲に浸るだけで楽しめること間違いなしだ。

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2026年1月号より)

藤岡幸夫(指揮) 東京交響楽団 川崎定期演奏会 第104回 
2026.3/14(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
https://tokyosymphony.jp