名匠ホーネック × 紀尾井ホール室内管のニューイヤー・コンサートがサントリーホールに登場!

ひと味異なる妙趣あふれるニューイヤー

 紀尾井ホール室内管弦楽団が、名誉指揮者ライナー・ホーネックを指揮とヴァイオリンに迎えておくる恒例のニューイヤー・コンサートも早4回目。2026年も浮き立つようなウィーンの音楽を中心とした誰もが楽しめる内容で新年を祝う。ただし今回は、本拠地の日本製鉄紀尾井ホールが改修工事中のため、サントリーホール大ホールでの開催となるほか、他と一線を画した多彩なプログラムが用意されている。

ライナー・ホーネック ©Tomoko Hidaki

 その1つは、ホーネックのソロでモーツァルトの当ジャンルの看板曲=ヴァイオリン協奏曲第3番が演奏されること。すなわち、ソリストとしても活躍しているウィーン・フィル・コンサートマスターの妙技と本場の典雅な味わいをじっくりと味わえる。もちろんワルツ演奏では、彼が指揮とヴァイオリンを兼ねる、お馴染みの“Stehgeiger”スタイルも健在だ。もう1つは“バレエ”の音楽が披露される点。しかも、ご存じ『白鳥の湖』に加えて、バレエ自体は大定番ながら音楽だけを聴く機会がほとんどないミンクス(生誕200年)の『ドン・キホーテ』を耳にできるのが嬉しい。この曲、吹奏楽では大人気の華やかな作品だ。

 さらには、ウィンナ・ワルツやポルカも、J.シュトラウスⅡ世のポルカ・シュネル(快速ポルカ)を代表する「観光列車」、ブラームスやワーグナーも愛したワルツ「酒、女、歌」といった定番の有名曲や、弟ヨーゼフのシンフォニックで優美なワルツ「トランスアクツィオン」、哀感漂うポルカ・マズルカ「燃える恋」のほか、ホイベルガーの喜歌劇《オペラ舞踏会》の華々しい序曲、ロッシーニの《ウィリアム・テル》が引用されるJ.シュトラウスⅠ世の「シュペルル・ギャロップ」、楽しさ満点のギャロップ「ため息」、愉快に弾むエドゥアルト・シュトラウスのポルカ・シュネル「ウィーンよ、全てのものの上にあれ!」といった生演奏の稀な作品が多く含まれているので、足を運ぶ意義も大きい。

過去公演より ©Tomoko Hidaki

 そして今回は、名手が集う国内屈指の実力派楽団=紀尾井ホール室内管のパフォーマンスをサントリーホールで体験する貴重な機会でもある。なお東京公演の前日には君津公演を開催。こちらには創立25周年を迎えた「きみつ少年少女合唱団」が出演して、豪華版の「観光列車」や、東京公演にはないジーツィンスキーの美品「ウィーン、わが夢の街」を披露するので、また違った楽しみが待っている。

 ウィーンの名匠と敏腕楽団による密度の濃いニューイヤー・コンサートを、ぜひご堪能あれ!

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2026年1月号より)

紀尾井ホール室内管弦楽団 特別演奏会
KCO名曲スペシャル ニューイヤー・コンサート 2026

2026.1/24(土)15:00 君津市民文化ホール
1/25(日)14:00 サントリーホール
問:紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp 
https://kioihall.jp
*プログラムは一部異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。