
国際作曲コンクール「入野賞」は1980年、作曲家の入野義朗(1921-1980)を記念して設立された。入野は戦後の日本に12音技法をいち早く取り入れるなどの先進性で知られ、入野賞は現在も新進の登竜門となっている。
12月に東京オペラシティ・リサイタルホールで4年ぶりに行われる第4回室内楽受賞作品コンサートには、入野の70年代の「ピアノと打楽器のための韻」のほか、第42〜48回からチョイスされた7つの秀作が並んだ。20〜30代の受賞者たちの作風は多彩で、例えば最新の受賞作、アルゼンチン出身のロシオ・カノ・バリーニョの「Khaínô」は、生身の奏者たちがエレクトロニクスと緊迫感に溢れるアンサンブルを繰り広げる。武満徹作曲賞をはじめ数々の国際コンクールに入賞を続けるジョウシェン・ジン(「Voyage」、第43回受賞作)のような俊英たちの創作が作曲界の今後の動向を映し出すことだろう。その他、中国のユージー・ヤオ、アルゼンチン出身で現在はフランスを拠点にするデミアン・ルーデル・レイ、台湾のツーヤオ・ヤンら各国の才能が一堂に会す。
多彩な編成と実験精神に富んだ作品群に挑むのはアンサンブル・ノマド。佐藤紀雄のもとに結集した精鋭たちが、各国の若き作曲家のチャレンジを鮮烈に描き出す。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年11月号より)
第4回入野賞 室内楽 受賞作品コンサート
2025.12/2(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:キーノート0422-44-1165
https://www.irinoprize.jp

