ダンスがみたい! 17〜春の祭典〜

12人12色の春の祭典!

 日暮里の駅からちょっと歩かねばならず、住宅街の細い道なのでわかりにくい。それなのに夜な夜なダンス好きが集まるのがd-倉庫である。独自色の強い企画が人気で、とくに『ダンスがみたい!』シリーズは今回で17回目を迎える。このシリーズは玉石混淆感が強めではあるがゆえに、ここからしか出てこないような才能がヒョイっと登場したりするので、目が離せないのである。
 今回特筆すべきは、共通のテーマを設定したこと。しかもなんと『春の祭典』なのである。12名の振付家が、ストラヴィンスキーの“名曲にして難曲”に挑むことになる。
 なぜ難曲なのか。変調に次ぐ変調、しかも曲自体が内包しているプリミティブなエネルギーがハンパないので、生半可な振付家では、呑み込まれてしまうのである。結果、曲の魅力に乗っかったチョロい作品が量産されることになる。だがその一方で、ベジャールやピナ・バウシュなど、真に力のある振付家は、とんでもない名作を生み出してきた。「当たり外れ」がデカい。それが“難曲”たる由縁なのである。
 それもあってか、今回登場する12組の振付家は、ビックリするようなキャリアを持っている人と、若手でもすでに一定の評価を受けている力のある面々が揃っている。
 ダンスと曲との真剣勝負。みごとに御するか、砕けて散るか。べつに勝負として見る必要もないわけだが、12人のダンサー達が一つの曲へ様々なアプローチをする様を見比べるとダンスの奥深さが味わえるぞ。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年8月号から)

ダンスがみたい! 17 
7/28(火)〜8/30(日) d-倉庫
※7/28、8/29の演目は『春の祭典』ではありません。
公演の詳細は下記ウェブサイトをご確認ください。
問:d-倉庫03-5811-5399 
http://www.geocities.jp/azabubu