2015年ショパンコンクールにて17歳で第4位、18年リーズ国際で優勝したエリック・ルー。2019年に収録のアルバムが、SACDの高音質国内盤として蘇った。すでにキャリアを築いているルーは、今年のショパンコンクールへの再挑戦でも大きな話題を呼んだ。起伏に富むショパンから、ブラームスの後期作品とシューマン最後の作品の繋がりは見事。深い呼吸を感じさせ、ソフトなタッチながらも力強い情念をも感じさせるルーの音楽性、そしてこの6年の間の彼の成長や、変わらず通底する音楽観を想いながら、今一度じっくりと味わいたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年11月号より)
【information】
SACD『ショパン:24の前奏曲 他/エリック・ルー』
ショパン:24の前奏曲/ブラームス:3つの間奏曲より第1番/シューマン:主題と変奏「幽霊変奏曲」
エリック・ルー(ピアノ)
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-28508 ¥3300

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。



